擎天(けいてん)

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 私は共産主義や社会主義なんか大嫌いだが、共産主義者や社会主義者の中には好きな人物もある。ホーチミンや、ボー・グエン・ザップ、カストロ、ゲバラなどは好きだ。これらは男の中の男である。

 共産主義者ではないが、韓国の元大統領、朴正熙もそんなに嫌いではない。彼には毅然とした、立派なところがあった。

 そんな中で、金擎天という活動家も少し好きだ。心をひかれる。きん・けいてん、キム・ギョンチョンと読む。

 金擎天は知る人ぞ知る、「金日成の本物のほう」である。今の糞デブ、金正恩のジイサンである金日成は、実は偽物なのだ。このニセ金日成がソ連人であったことはよく知られている。明治時代から大日本帝国に抵抗してきた不屈の霊将という触れ込みで政治集会に華々しく登壇した金日成であったが、それならば当時、(よわい)70から80にはなっていなければならない筈なのに、現れたのは30そこそこのニイチャンであった。我々が知っている方の金日成である。

 この偽物がかっぱらった伝説の抗日英雄、本物のほうの不屈の男の本名を金擎天というのである。金擎天になりすました金日成は、実際には戦闘なんか大してしておらず、ソ連語しか喋れないエリートぼんぼんなのであった。

魂で選ぶ

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 変化、変容、変身、メタモルフォーゼズ、レボリューションやイノベーション、なんでもいいが、つまり、「良い激動」と、その真反対の、「ボス、あるいはアホなオッサンのキチガイみたいな気まぐれ妄言」とは、どうやって区別したらいいんだろう。

 「ボス、あるいはアホなおっさんのキチガイみたいな気まぐれ妄言」が、妄言であるかそうでないかは、その妄言に従ってやってみなくちゃわからないんだから始末が悪い。で、やってみている間に、食いっぱぐれたり死んだりした日にゃあ、まったく我と我が身とわが魂が浮かばれない。

 「データの投入量が多ければ多いほど、それは妄言ではないかもしれない」という仮定もある。しかしそれは、かつて人口に膾炙した「ストレンジラブ博士…」とか、核戦争後のアメリカを真剣に研究した「RAND」報告のような帰結になりはすまいか。つまり、「データにしたがって結論を出せば、会長一家が今日の12時ちょうどにガス自殺してくれることが経営上最も合理的である」とかいうような数学的結論が出てしまう。そして、私たちは往々にしてそういう結論が出てしまうことを本能的に知っている。

 思うに、これはもう、「魂」で弁別するしかないのである。

 魂ほど正確な、そして、「知能の低い者にも等分に分け与えられているセンサー」は、ない。

 ただ、魂も、時として頓狂だ。

 アホなオッサンのキチガイみたいな気まぐれ妄言……大西瀧次(以下略

 以下略、で、そんで、次々と突っ込む若者。

 こうなってくると、センサーであるところの「魂」が不滅で、ずっと何かを見ている、それは後世にわたって審判をする、とでもいうような、宗教じみた何かを信じない限りはどうしようもない。