クリスマス

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 普段国粋主義者ぶったりことさらに仏教徒ぶったりしているので、おおっぴらにメリークリスマスと料理や酒の写真をシェアするのもなにやら含羞の気味を覚え、クリスマスのことはネットに書かなかった。

 だが、いつもより早く仕事を切り上げ、帰途、とうにサンタクロースが来なくなってしまっている娘姉妹と妻にやるためのささやかなプレゼントを買い、フランス産「ボルドー・ブラン・シグナチュール」の白と赤を一本ずつ、忘れずに買って帰宅。これは朝のうち、「晩ごはんはクリスマスだから、チーズ・フォンデュやろうね」と妻が言っていたから。
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 プレゼントを渡し、一同がわーいと喜んでいるのを見ると私の相好も崩れるというもの。生ハムのサラダに鶏の腿の揚げたのが出た。チーズ・フォンデュは馬鈴薯の茹でたやつ、バゲット、ソーセージなど。専用の陶製器具を使ってチーズを煮溶かす。料理をたくさん食べて、妻が駅の「FTO」で買ってきたケーキを切り、メリークリスマスと言い合った。

 子供が小さい頃は私がしょっちゅうケーキを焼いたもので、クリスマスにはココア入りのスポンジを焼いて、薪のかたちをした「ブッシュ・ド・ノエル」などをよくこしらえたものだ。薪の胴のところは、ココア入りのスポンジを薄く切り、チョコレートクリームを塗って、寿司の「巻簀」を使ってロールケーキにするのである。細く巻いたものを別に作って、これを枝のように二、三本植え込み、溶かしたチョコレートを木の肌のようにパティシエ・ナイフで塗りつける。

 これはしかし、ココア入りのスポンジを上手にふくらませるのが意外に難しい。卵白はココアの油分に触れると、泡が弱くなるのである。結局、最後までふんわりと焼けなかったものだ。