回教の新年やクリスマスは

投稿日:

 去年の今頃から去年の夏ごろまでにかけて、回教に親しもうと、タダで手に入った岩波の「千一夜物語」を読んだものだったが、そういえば、回教では新年はどうなっているんだろう、とふと思い当たった。

 回教圏諸国でも、トルコのように政教分離・世俗主義をとる国もあれば、イランやサウジアラビアのような厳格な国もあって、それぞれでまちまちであるようだ。

 彼らは基本的にイスラム暦を使う。イスラム暦は太陰暦、すなわち月の満ち欠けを基にする暦で、日本の他、アジア各国で使われている「陰暦(旧暦)」と同じである。アジアの陰暦と違う点は、「閏月」を置かないことだ。この結果、イスラム暦では各月が年毎にずれていき、年によって同じ月が同じ季節ではなくなる、というところである。つまり、厳格にイスラム暦を使っている国では、同じ新年・1月と言っても冬の場合もあれば夏の場合もある、という具合である。

 そのこともあってか、ヨーロッパやアメリカのようには新年やクリスマスは祝わないものらしい。「クリスマスはキリストの誕生日だから当然だろ?」という向きもあるかもしれないが、一応回教でもイエス・キリストは「預言者イーサー」という聖人として位置づけられており、回教の教義の中でも大切にされている。ただ、神の子とまでの位置づけではないので、イエス・キリストの誕生日を盛大に祝うというようなことはない。

 また、戒律が厳格な国々では、閏月を置かないせいで新年が移ろうためでもあるのだろうか、新年もそれほど盛大に祝わないという。

 その代わり、回教圏では、年によって季節の変わる「断食月(ラマダン)」明けなどが大きな祝祭なのだという。断食が終わると盛大に御馳走を食べ、それこそ正月のように祝い、子供には日本の「お年玉」のようなものも振る舞われるのだそうな。

 世俗主義のトルコでは、一応クリスマスも知られてはいるが、それほど盛大には祝わないらしい。その代わりに、太陽暦の大晦日に、家族一同クリスマスのような御馳走やお菓子を食べ、夜明かしをして新年を祝う。この時にヨーロッパやアメリカのクリスマスのように、七面鳥を食べるそうである。

 詳しいサイトによると、七面鳥は英語圏の国々では「ターキー Turkey」つまり「トルコ」と呼ばれているのだが、当のトルコでは七面鳥の事を「ヒンディ」、つまりインドと呼ぶのだという。なんだか面白いが、要するに「ちょっとエキゾチックな御馳走」みたいなことなのであろうか。

投稿者: 佐藤俊夫

 50代後半の爺。技術者。元陸上自衛官。2等陸佐で定年退官。ITストラテジストテクニカルエンジニア(システム管理)基本情報技術者

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください