学や知や罪や

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 昨日放映のNHKスペシャル「731部隊の真実」の録画を見る。

 ハバロフスク裁判の録音テープの証言は、少し変だ。登場する衛生兵の古都なる人物の証言は、昔の人であるにかかわらず、妙に棒読みっぽく理路整然としており、言い間違いや「あ~、え~……」と言った間つなぎ声も入らず、あまりに淀みがなさすぎる。変だな、と思わせるに十分だ。ただ、当時の記録として一級品の資料であることには変わりはなく、価値は不自然さなど補って余りある。

 今は軍事研究と言うと「忌まわしいもの」「ゾッとするもの」という感じを多くの人が持つのだろうが、昔の日本や、今でも諸外国では、博士や教授が「私の研究室では軍関係のものも扱っておりまして」などというと、立派なこと、かっこいいこと、誇り高いこと、ちょっぴり秘密めいた鼻の高いこと、そういうものであったことも押さえておかなければならない。

 それは米国における科学技術が未だに造兵や軍事から脱却できていないことにも関連する。軍事研究の集合という意味からは、米国の大学など、人殺し研究の巣窟と言ってよかろう。

 この番組はむしろ、制作陣がそう意図したかどうかはわからないが、戦争がどうとか日本軍が残虐だとか言うことではなしに、「学問・学術や知性の罪深さ」を抉り出してしまっているように思える。

投稿者: 佐藤俊夫

 50代後半の爺。技術者。元陸上自衛官。2等陸佐で定年退官。ITストラテジストテクニカルエンジニア(システム管理)基本情報技術者

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