動詞の連用形の名詞化

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 前から「気づき」「学び」「気づきがあった」「学びがあった」などとする書き方や言い方の流行に馴染(なじ)めずにいた。所謂(いわゆる)「動詞の連用形の名詞化」ということだ。文法的なことはググれば高名な先生方の解説が沢山出てくる。興味のある向きは一読なさればよろしかろう。

口語動詞「学ぶ」の活用

学ぶ
語幹 (まな)
活用形 活用 下接語
未然形 学ば
学ぼ
ない
連用形 学び
学ん
ます
た(だ)
終止形 学ぶ (言い切り)
連体形 学ぶ とき
こと
仮定形 学べ
命令形 学べ (命令言い切り)

 一言でいえば、口語文法の場合、活用語尾が「ます」「た(だ)」につながる活用形が連用形である。この「気づきます」「学びます」の語部分「気づき」「学び」を名詞として使うものが「連用形の名詞化」だ。

 理屈はともかく、日本語として違和感があることは否めない。文法的な違和感に加えて「気づき」だの「学び」だのと言いたがる人が苦手だということが私にはある。こういう言い方書き方をしたがる人というのは、大概(たいがい)変に押し付けがましい、いわば「そこそこ中ぐらいに出世した経営者とその取り巻き」みたいな “動詞の連用形の名詞化” の続きを読む

漫画及びアニメ「異世界おじさん」と私

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 標記「異世界おじさん」。面白くて、何度も読み返し、アニメも全部見た。

 連載開始は5年前の6月から、単行本の1巻は同じく11月、アニメの放映は今年の春までだったから、流行からは少し遅れて楽しんでいることになる。

 とはいうものの、私がこの漫画を知ったのは令和元年(2019)頃のことで、割と早くから注目してはいた。最寄の旭屋書店にフラッと立ち寄った際、「立ち読みお試し」で第1巻の半分くらいに減らしたものが書棚に吊るされていた。それを読んでとても面白かったので、以来ずっと全部読みたいものだと思っていたのだ。

 その後、この漫画を読みたい読みたいと思いながら読まずにうち過ぎてしまった。これほどの大ヒットになったり、アニメ化されたりしていたことは全然知らなかった。単純に忙しかったからだ。

 私は令和4年(2022)に40年間勤めた自衛隊を定年退官して会社員に “漫画及びアニメ「異世界おじさん」と私” の続きを読む

アンテナコンセント取付工事と「こしがやエフエム」

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 自宅にDIYでラジオアンテナコンセントの取付工事をした。左の写真は完成図である。

生ラジオを即製ダイポールアンテナで聴く意味

 先日安価なラジオを買い、最近はそれを聴くのを楽しみにしている。今時(きょうび)ラジオはほとんどすべてインターネットストリーミングで聴取可能だから、わざわざ「生ラジオ」で手製のダイポールアンテナなんぞまで作ってラジオを聴く意味は(ほとん)どないが、これは往年の無線技士としての衝動のしからしむるところであって、意味などどうでもよいのだ。

 即製のダイポール・アンテナでラジオを聴くことの醍醐味(だいごみ)は遠距離の海外短波放送を受信することにこそあるが、それだけというのも芸が “アンテナコンセント取付工事と「こしがやエフエム」” の続きを読む

読書

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 引き続き60年前の古書、平凡社の世界教養全集を読んでいる。

 最近、漫画を読んだりもしていて、こちらの方は休み休みなのだが、しかし、少しずつ読み進めている。

 第24巻の第2作目、「人間の土地 Terre des hommes(サン・テクジュペリ Antoine de Saint-Exupéry 著・堀口大學訳)」を読み終わった。読み終わったのは東京駅八重洲北口にあるバー「The Old Station」内で一杯やりながらのことである。この全集では割合に中著の部類に入り、135ページからなる書である 

 サン・テクジュペリの本は、「星の王子様」「夜間飛行」を若い頃から読み()っている。本書「人間の土地」は、中学生の頃、属していた部活動(水泳部)の顧問の先生だった上野先生という方 “読書” の続きを読む

映画

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 他の映画の上映前の広告で見て気になっていた「大名倒産」という映画を観に行った。18:10からの上映、越谷レイクタウン、イオンシネマ。

 名優神木隆之介主演。これはもう、面白くないはずがない。

 数年前、宮藤官九郎脚本、主演はもちろん神木隆之介の「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」というのを見に行き、強烈な興奮と楽しさを覚えたものであった。

 今作「大名倒産」は毒のないさわやかな映画で、助演も杉咲花の他、名優揃いだった。楽しかった。

新コロ時疫籠(じえきごもり)と「異世界おじさん」その他

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 「新コロ」COVID-19感染症に(かか)ってしまい、6日間会社を休んだ。

 新コロは既に先月から「5類感染症」に格下げになっており――と(しる)すのもいかにも手慣れた風だがさにあらず、『5類感染症』という言葉や分類が結局のところ何なのかということを、自分が(かか)ってから追ッ取り刀(おっとりがたな)で検索し、改めて知った次第――そこまでピリピリする状況ではなくなって “新コロ時疫籠(じえきごもり)と「異世界おじさん」その他” の続きを読む

妄想・老人自衛官

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 防衛力の増強を打ち出した政権は人材確保のため自衛官の採用可能年齢の上限を撤廃する法律改正を行った。これで、法理上は90歳でも100歳でも自衛官として採用できるようになった。

 意外にも、将来に希望の持てぬ老人達が志願に殺到してきた。防衛省としては定年で退職した元自衛官の志願を内心目論(もくろ)んでいたのだが、思いのほか一般の定年退職老人たちまでもが群れをなして志願票を投函してきた。

 老人たちの心中はといえば、これは単純な愛国心や義勇ではなかった。5倍に増えた防衛費を背景とする1千万円の年俸と死亡時の償恤(しょうじゅつ)金1億円は、老い先短い者にとって死亡保険金代わりの家族への遺産と見れば魅力という他なかったのである。しかも、用無し老人として家族から嫌われながら余生を送るより、いっそ戦争に行って射殺でもされたなら「じぃじはあなたたちのために命をかけて戦って死んでくれたのよ(泣)」などと、日頃冷たい息子の嫁が涙ながらに孫に語るかもしれないではないか。とどのつまり、言うならば、「(うと)んじられて百歳の天寿を全うするよりもいっそのこと戦死した方がマシ」という身も蓋もない自暴自棄である。

 そんな折も折、遂に発動されたのが樺太(からふと) “妄想・老人自衛官” の続きを読む