精神力を称揚することの危険

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 去る8月11日にギリシャ船と中国船が尖閣周辺で衝突し、中国船が遭難したのだが、その時の海上保安庁の現場の対応が非常に人道的で、無私・博愛であった。このことを取り上げる向きもあるようだ。

 海保の行動は整斉粛々たるもので、さすがは、と思う。これは賞賛されるべきものだ。

 ただ、気になるのは、このニューズウィークの記事のほうである。この記事が「精神」「精神」と、海保の精神性を強調して称揚していることだ。

 精神力を発揮する側の者、サービス・プロバイダのほうでこれを言うのは許されるし、必要だと思う。しかし、サービス・ユーザのほうでこれを求め、(あまつさ)え称揚するというのは如何なものか。

 「ひょっとして佐藤さん、間違って逆を言ってない?」と思われるかもしれない。いいえ、逆ではありません。

 それは、次の例でもって端的に尽くす。すなわち、先の大戦末期、兵は「精神力」を求められた。物質に劣るとも精神において必勝である、などということを強要され、玉砕・特攻等を()いられ、多くが(たお)れた。このことである。

 海保は単なる海上サービスとは違う。海上の警察権力たる海上保安庁は、「力」を保持し、これを提供する。つまり「フォース・プロバイダ」なのだ。フォース・ユーザがこれに精神力を求めれば、すぐに際限がなくなり、ろくな装備も持たせず、ろくな制度や枠組み、法律も整備せず、「精神力さえあれば任務は遂行できる」「行って美しく死んで来い」などということがまかり通ることにつながる。

 したがって、この遠藤誉氏の記事を読む際には注意が必要だ。

 精神力などという形のないものでは、尖閣問題において政府がしでかした一連の不始末の、尻拭い、後始末はできない。必要なものは具体的な外交、法律などの枠組み、金銭、物質、人員、これである。

平田実音氏死去

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 長女が小さい頃、この人の番組を見て料理の真似をしていたものだ。「舞ちゃん」引退後も先輩格でアドバイス出演したりしていて、非常に懐かしい。ところが、まだ若いのに、亡くなってしまったという。いたましいことである。

 祈冥福(めいふくをいのる)

赤蜻蛉

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また川に出てみたり

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 毎日のように野暮用があって、不自由きわまる。

 今日もなにかと用事があり、ああ不自由だ、嫌だなと思っていたら、ふとキャンセルされてしまう。こういうことが必ずあるとハナからわかっているから、かえって責任のある約束をすることもできず、面白くない。

 ただ、こうしてポッカリと空いてしまった時間と言うのが逆に自由なもので、これはこれで悪くない。

 だから、これしきのことで腹など立てないのが処世というものだろう。

IMG_4361 それならばひとつ、というわけで、毎回同じことばかりだが、こういう時には好きな食い物に限る。都内の職場近くにいるならまっすぐここだ。「神田・やぶそば」。

 まず菊正宗を一合、焼海苔をたのむに決まっている。

IMG_4362 飲み終わったら、そりゃあ、もう、決まったように「せいろ」を一枚、ツルツル~、……と、これに限る。

 今日は曇りのち雨との天気予報だったのだが、雨などとは言うも愚か、真っ青な空がどこまでも広がって、しかも秋の匂いがそこかしこに吹き散っている。

 万世橋のあたりから水面を眺めているうち、そういえば、この川にも観光船があったな、と思い出す。たしか、「神田川クルーズ」というようなことだったはずだ。

 スマホは便利なもので、「神田川クルーズ」で検索すると、すぐに出てくる。日本橋のたもとから出発すると言う。

IMG_4364 地下鉄・神田から日本橋までは二駅。「やぶそば」から神田の駅までは、ダラダラ歩いて10分弱ほどだ。

IMG_4541 銀座線に乗り、日本橋駅を適当に降りると、銀座高島屋のあたりへひょいと出る。地上は紺碧の空が眩しい。

IMG_4367 日本橋の看板のある、この景色の右手に観光船の乗船場がある。神田川観光は90分で2500円だ。近くのミニストップでウィスキーのポケット瓶を一本買って、迷わず乗ってみる。

 築地に魚市場が移る前は、今の日銀があるところの対岸辺りが「魚河岸」で、ここで江戸の食べ物を引き受けていたのだそうである。

IMG_4379 観光船は出ると早速、ガイドさんの名調子で日本橋の下側の焼け焦げを案内する。これぞ関東大震災で火だるまになった船によって焼け焦げた、まごうかたなきその跡だそうな。

神田川クルージングGPSトラック 船は日本橋川から神田川、隅田川にも出てぐるりと一周する。都内の「濃い……」ところを、年季の入ったガイドさんの案内でミッチリ90分回るわけだから、面白くないわけがない。

 IMG_4441 明治時代から変わらない橋や建造物も多い。が、バリアフリーのために工事中である、という、一時的に殺風景なものも多くあり、これは東京オリンピックを睨んでのものでもあろうか。

IMG_4496 隅田川まで出てくると東京スカイツリーの眺めも良く、残暑とてまだ暑いものの、青天白日、補って余りある川風の豊かさである。

 ウィスキーのポケット瓶を空けてしまい、面白おかしい暇つぶしになった。

IMG_4550 帰宅してホワイトホースの残りを飲み直す。至福至福。

一杯

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IMG_4352 家飲みで一杯。今日は珍しくホワイト・ホース。

 最近、近所のスーパーで手に入る千円前後のウィスキーにやたら通暁するようになったなあ。しかし、この銘柄だって昔は高かった。ボトルキープとかすると8千円だの取られたし。

 今は麒麟麦酒が輸入するようになったようで、ほかの銘柄同様、安くなったわけだ。

 私宅の近所にある薬局「ウェルシア」では1本1134円(税込)。