飲み喰い

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 用もないのになんとなく秋葉原へ行き、磯丸水産へ入って刺身で一杯飲んだ。

 出てきてガード下を通ったらすし屋銀蔵が開いていたので、これも何となく入って寿司を食った。浅利汁に茶わん蒸しがついて980円は安い。ここでも菊正宗を1合飲んだ。

 秋葉原からは神田駅が見えるが、なんとなくそこまで行き、せっかく来たのだからと室町砂場へ入った。

 突き出しの蒟蒻(こんにゃく)酢味噌と、冷やし冬瓜でまた1合。

 それから、「もり」を1枚手繰(たぐ)った。

 疲れていたのか、3合程飲んだだけなのに酔っぱらってフラフラになった。

 帰ろうと思って山手線へ乗ったら寝込んでしまった。そのまま2周か3周、ぐるぐる回ってしまったのだったか。

 目を覚まし、秋葉原で日比谷線に乗り換え、そのまま何もせず帰宅。

 最近はあまり飲み喰いをしない私としては、大食してしまったな、と思う。

一杯

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 料峭(りょうしょう)、……と言えるほどの晴れやかさでもなかったが、しかし、春らしい、風の光る一日だった。

 今日の肴はちょっと刺身などをはりこんでみる。

 ぬるい燗で安いところを一杯。旨い。

一杯

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 一杯。

 さて今日もキコシメそうかな、何か肴は……と思ったが、適当なものがない。

 そういえばこの秋は柚子味噌(ゆずみそ)を作らなかったな、などと思い出す。柚子味噌は晩秋の青柚子でも旨いし、冬のさなかの、黄色く大きく熟れた柚子で作っても旨い。

 しかし、冷蔵庫に柚子はない。

 台所をあさるとレモンがあった。饂飩(うどん)にレモンを絞りかけたり、輪切りを浮かべたりするととても旨いことを思い出した。特に肉饂飩(にくうどん)などには非常に合い、肉が柔らかくなるばかりか、肉の臭み消しにもなる。

 そこでまったくの思い付き、「レモンの焼味噌」を作ってみた。

 レモンを半個輪切りにし、絞って果汁をとる。このとき、種を丁寧に取り除く。絞りかすの内側の果肉を袋ごとスプーンでこそぎ取り、まな板の上で細かく刻み、包丁でよく叩く。これを果汁に混ぜ合わせる。

 レモンの皮も細かく刻み、包丁でよく叩き、これも果汁に混ぜ合わせる。

 八丁味噌を大(さじ)(ふた)匙ほど、上記果汁に混ぜ合わせる。

 電子レンジで3分ほど火を通す。

 熱く煮え、水分が少し飛んだ味噌を木杓文字(しゃもじ)か木(べら)に塗り付け、火で(あぶ)って()がせば出来上がりだ。

 ほろ苦く、香りがよく、塩気が利いて旨い。好みで葱のみじん切りなどを混ぜても旨いだろう。

 写真に木箆ふたつ分が写っているが、これで4合くらいは飲んでしまえそうである。

蕎麦屋の梯子(ハシゴ)

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 旧友にして畏友のF君と、蕎麦屋の梯子(ハシゴ)をした。

 F君は関西へ単身赴任中であり、(たま)さか東京の自宅へ帰る際には、どうも東京らしいものを食べたくなるようで、いきおい「佐藤、蕎麦屋に行こう」ということになるのである。

 実のところ、いい蕎麦屋は年明けの初店(はつみせ)が遅く、多くの蕎麦屋が今年はだいたい1月6日土曜日からの営業だ。今日(1月4日)と言う日に開いている蕎麦屋はなさそうである。また、空いているかいないかも、座していては実のところはっきりしない。電話して確かめるにしても夜間となれば詮ないことで、またWebで見るにしても、老舗(しにせ)の、いい蕎麦屋に限ってWebサイトの更新がどうもいい加減なので仕様(しょう)がない。

 東京の藪・砂場・更科の御三家で、すぐにわかるところでは更科堀井がFacebookページの更新に熱心で、1月4日から開店しますとはっきり書いてある。そこでとりあえずF君とは麻布十番で待ち合わせということになった。

 晴れ上がる。青い空、良い天気、寒いことは寒いが、まことにいい日である。

 私は自宅の埼玉・越谷から、東武線・日比谷線・大江戸線と乗り継いで、エッチラオッチラ「総本家・更科堀井」へ向かったのだが、F君と落ち合う前、ついでに「永坂更科・布屋太兵衛」の方も覗いてみた。そうしたら、開店準備をしており、今日は店が開くことがわかった。それで、まず布屋太兵衛へ入ることにした。

 F君を待つ間、漫然と付近を歩いていたら、麻布十番に野口雨情の「赤い靴」(『♪赤い靴履いてた女の子』の歌い出し)のモデルになった女の子の記念像があることを知り、そこへなど行った。

 像の近くに記されている由来記などによると、この「きみちゃん」という女の子は、貧しい家から米国人宣教師の養女として貰われていき、その実母は娘が米国で幸せに暮らしているものとばかり思っていたという。ところがその実、女の子は麻布の孤児院で病死してしまっていたのである。悲しい物語である。

 うろつくうち、すぐ近所に、幕末の日米修好通商条約当時、最初の米国公使館となった寺があると知り、そこへ参詣してみた。善福寺と言い、遠く弘法大師空海の開山と伝わる。

 写真は往時の「勅使門」の再建であるという。

 F君と麻布十番駅で落ち合い、布屋太兵衛へ。

 布屋太兵衛ではぬる燗でお銚子を1本、名代(なだい)の御前蕎麦を1枚。

 それから更科堀井へ。

 焼き海苔、焼き味噌で「名倉山」のぬる燗を1本、2本。

 蕎麦は「太打ち」と「変わり打ち」をとって、これを二人で分ける。変わり打ちは「桜海老打ち」で、ほんのりと海老の香りがして旨い。

 更科堀井を出て、一応「麻布永坂・更科本店」の方にも足を延ばしてみたが、やはり営業は1月6日からで、開いてなかった。店の前で「梯子(ハシゴ)蕎麦記念写真」を撮った。

 F君と相談し、新橋まで行って見る。これはまあ、何か別の物でも飲み食いしよう、その前にチラッと日本橋近辺まで足をのばし、「虎ノ門・大坂屋砂場」の店構えでも見てからにしよう、というくらいの気持ちである。

 ところが、店の前まで行って見たら、1月4日でまだ17時前なのに、大坂屋砂場が開いていた。以前、ここは確か夜までの「通し営業」をしていなかったと思うのだが、どうやら変わったようで、おおっ、この機を()がすべからず、というわけで、すかさず入る。

 まずぬる燗を1本、それから「もり」を1枚。

 帰り、烏森(からすもり)神社に寄ってみたりなどする。

 その後、新橋駅周辺をうろつく。居酒屋1軒、焼き鳥屋1軒、ガード下の居酒屋にもう1軒入って、そろそろ二人とも呂律(ろれつ)が怪しくなり、22時ごろだったか、F君と別れた。

 明日は仕事だが、千鳥足で帰宅し、入浴、就寝。いやはや、手繰りも手繰ったり、飲みも飲んだり、というところである。

正月は米尽くし

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 「米尽くし」と言ったって、米国(アメリカ)尽くしではない。同じベイコクでも「米穀尽くし」のほうである。

 なにしろ、米の精である日本酒を飲み、酔い醒ましに玄米茶を飲み、小腹が減ったと言っては糯米(もちごめ)を練り上げた餅を食い、またこれを入れた雑煮を啜るわけである。

 まこと、よく豊葦原の瑞穂のうまし国にこそ生まれて生きざらめやも、なぞと思うわけである。

 これで、(ぬか)漬けを御菜(おかず)に白米の飯でも食えば、更に更に、まっこと、まこと、と思わずにはおれまい。何しろ糠は米の胚芽その他を()いて熟成させたものなのである。

年用意(としようい)

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 朝から掃除、就中(なかんづく)車洗い、車内の掃除、それから駐車場の掃除。

 終わって、新しい徳利を買いに行く。この前2合入りの徳利の首を割ってしまったからだ。徳利がないと正月の酒が飲めない。趣味の良い酒器も良いが、ここは質実剛健に蛇の目の奴を買うことにする。食器棚に蛇の目ばっかり並んでいるのはいかにも酒呑みめいていて品がないが、やや「通」じみた感じもするから、まあ、いいかというわけである。

 築地の道具屋あたりへ買いに行くのもいいが、北千住の東急ハンズにも売っているから、そこへ行き、蛇の目の猪口の、3勺入り、1合入りをそれぞれひとつ、それから1合の徳利を2本、2合の徳利と3合の徳利を1本づつ。合計3千円ちょっと。

 ガソリンスタンドへ灯油を買いに行く。40リットル、3154円。高くなったなあ。

 朝から曇天、やがて雪がちらついた。曇りにもかかわらず風花(かざばな)のような(おもむき)も何やら少しありつつ随分冷えたが、やがて(みぞれ)のようになって濡れ、そういう興趣は消えて重い冬の昼になった。だがそれもわずかな間で、先ほど灯油を買いに行ったら晴れて陽が差した。車の右側からの西日が熱く感じたほどだった。大晦日に初雪とは面白い。否、こういう時期の雪は「しまい雪」とでも言うのか、どうなのか。

 ぼちぼち、居間に落ち着き、買って来た3合の大徳利と1合の蛇の目で、品もへったくれもなく一杯。

掃除

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 朝、玄関先と庭を掃除。腰が痛く、なかなかつらい。

 草取りをしたが、冬なのでたいして伸びておらず、ゴミ袋二つが一杯になった程度。無心に掃除をしていたらあっという間に昼になった。

 昼めしにうどんを食べたあと、雑巾を絞り、あちこちの拭き掃除、埃取り。

 階段のワックスが部分的に剥げてみすぼらしくなったのを、ワックス・リムーバーの剤とブラシでゴシゴシとこそげ取る。踊り場の床板が難物で、ゴシゴシこすったところ、中途半端にワックスが落ちて余計に汚らしくなってしまった。歯ブラシを使ったがダメで、ならばと真鍮のワイヤーブラシで隅々までワックスをこそげ取り、ようやく一息。

 階段に新しいワックスを塗ってしまってから、作業順をよく考えていなかったことに気付く。ワックスが乾くまで階段を昇降できない。

 乾かして、やっとこさ掃除道具を片付ける。これで、まる一日。

 疲れた。冷蔵庫を開けたら竹輪があったので、それを肴に一杯。

読書

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 通勤電車の中の楽しみ、先日市立図書館南部分室で借りた岩波文庫の「日本の酒」をゆっくりと読み終わる。

 酒屋で時々見かける「山廃仕込み」というのがどういう意味か、今まで知らなかったのだが、この本で「山(おろし)廃止(もと)」というものを使った酒であるということを知った。

 「山卸」の山というのは蒸した米の山、これを櫂を使ってすりつぶす((おろ)す)ことを「山卸」という。これは、江戸時代までの米の精白度合いに限界があった頃は必須の工程であったらしいが、明治時代の精米方法の進歩につれて酒造の工程が合理化し、この「山卸」も廃止できるようになった。こうやって作られた(もと)を使用して仕込むのを、山卸廃止を略して「山廃仕込み」と言うのだそうである。

 続いて、さらに借りてある1冊を読み始める。同郷の先輩Hさんに教わった司馬遼太郎の「菜の花の沖」。全6巻中の第1巻だ。

 江戸時代の商人高田屋嘉兵衛の一代記で、かれこれ17年も前、NHKでドラマ化もされているものだという。竹中直人主演であるようだ。テレビをあまり見ないので、全然知らなかった。