コーヒーと老眼鏡

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 近所の庭木の手入れのいい家々では、南天、千両、万両の実が真っ赤になり始めた。石榴(ざくろ)の実が大きくなって色づき、柿は既に濃い黄色から赤になり始めている。

 雨が過ぎ去って、ますます冷涼となった。

 先日来、台風に伴う大雨が降り続き、全国各地に水害が出ている。

 この雨、幸い、私の住居(すまい)する辺りではなんともなかったが、被害に遭われた方々にはお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い生活の再建をお祈りする。

 朝食代わりに到来の菓子とコーヒー。京都の五色豆。少し香料が入っているのか、鉢に盛ると涼しい香りがする。

 間もなく萬鬼節(ハロウィーン)とて、それらしいマグカップもまた良からんか、というところだ。

 休みの日は大してカロリーも使わないので、こんなものでよい。むしろ、何も食わなくても丁度良いくらいである。

 最近精神・肉体の進境が著しい。つまり物忘れがひどく、非常に老けてきたということであるが、面貌が険しくなってきたように思うので、老眼鏡をラウンド・タイプの丸いものにしてみた。多少愛嬌が出たように思う。

 度数がわかっているので、Amazonで買えば1000円かそこらの安いもの。

一口坂(いもあらいざか)

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 昨日、九段・一口坂のあられ舗「さかぐち」で買ったあられと茶で朝食がわり。

 ここのあられはとても旨い。辛口の醤油の味がよく染みていて、緑茶に合う。

 このあられ舗のある「一口坂」を、「いもあらいざか」とも()む、ということを先日初めて知った。お茶の水の聖橋のたもとに、古い古い稲荷社の跡があり、そこに社の縁起が書かれてあったのだが、その縁起の中で、京都に一口(いもあらい)稲荷という稲荷社があって、その効験は化膿性の病にあらたかであるという。「ゐも」という古語があり、これは「うみ」と同じ意味であるそうで、「ゐも洗ひ」と「うみ洗ひ」は同じ意味だそうである。

 その縁起書によれば、往古は天然痘のことを「ゐもがさ」と呼んだそうで、上の意味からすると、病気の見たまま、そのままである。

 一口稲荷の霊験は、この天然痘によく効いたという。

 「一口坂」という地名は各地にあり、どれも大概は「いもあらいざか」と訓み、その由来もだいたい同じで、疱瘡などへの神仏の霊験に由来するようである。九段の一口坂に限っては、かつては「いもあらいざか」と呼んだが、今は「ひとくちざか」が一般化しているようだ。

 天然痘と一口稲荷の伝説も全国に残っており、「いもあらい」という古語の由来もだいたい同じようだ。

 ただし、なぜ「いもあらい」の和語に「一口(ひとくち)」の漢字を当てるのかは、諸説があるようではっきりしない。

 京都の一口稲荷に関しては、膿を洗って効験あらたかな社傍の池への入り口が一つしかなく、ために「一口」となったという説、あるいは、唱え(ごと)をたった一口(ひとくち)奉るだけで効験が現れたから、などの説があるようだ。

 九段の一口坂に関しては、「一口(いちぐち)氏」という山城国の豪族がここに住していたのが由来である、という説がある。