流しで大騒ぎ

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 台所の流しの「吸い込み」が時々悪くなる。その都度、「バキュームカップ」(当然台所専用で、トイレとは別の『上用』だ)でボコボコやる。

 今日も吸い込みが悪くなり、妻が「お父さん、ちょっと手が空いたらまたお願い」という。

 よしきた、一杯やる前に、一仕事片付けようとボコボコやりだした。

 しばらくバキュームカップを動かしていると、「確かな手ごたえ」があり、ズボボボボボッ……と水が引いていく。

 ふぅ、やれやれ、……と荒い息を吐き、道具類を片付けようと下を見たら、床が水浸しになっている!

 うわっ、なんだかわからないが、流しの裏、壁の裏の、なんだかよくわからないところが、エラいことになっているらしい、と直感。

 とにかく流しの抽斗(ひきだし)を全部とりはずし、配管の奥にアクセスするためのパネルをとりはずす。

 うわわわっ、なんじゃこりゃあ!!

 下水へ続くパイプへ、流しからは蛇腹状のフレキシブルパイプが接続され、接続部には「防臭ゴム」とか「防臭キャップ」と呼ばれるゴムブッシュがはめられているが、それが外れて流しの裏が水浸しになっている。どうも、バキュームカップを力強く操作しすぎたようだ。

 少し深い空間になっており、水に濡れた跡から推定すると、流しの裏が10センチばかりも水浸しになっていたらしい。

 しかも、私の家はキッチンや風呂が2階にあるのだ。

 慌てて階下を点検すると、果たして1階の天井に少し水が漏れている。

 参った。

 雑巾やタオルを総動員し、妻と大慌てで家の水をふき取って回る。しかも汚水だ。

 ようやく終わり、一息つく。流しの抽斗は全部取り外して、内部にサーキュレータを入れて通風し、乾燥を待つよりほかにない。

 やれやれ、と一杯。

亭主ドライバ

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 去年のいつぞやの夕刻のこと。

 ウィスキー呷ってダラダラしてたら、「ちょっとお父さん、台所手伝ってよう~」と妻の悲鳴である。どうも洗い物など、台所がたまってしまったようだ。

 もとより、家庭において妻の命令は絶対厳守である。妻は家庭の首相であってみれば、その命令はたとえ家長の私であろうと、墨守死守でなければ近代立憲制度の実をないがしろにすることに繋がっていってしまう。

 それはさておき、妻は台所に私を呼びつけるや、じつにテキパキと私をドライブしはじめるのである。

「抽斗からラップ出して。……違う、右の抽斗ッ。もう~」

「冷蔵庫あけて水に漬けた生姜の鉢をだして!」

「それにラップかけて、野菜室にしまうのよ。」

「それから、フライパンの生姜焼きの残り、アルミカップに小分けにして。」

「それをラップに包んで。休み明けにお父さんのお弁当に入れるんだから。……あーっ、だめよ、ピチピチに包んだら。ふんわり包むのよ。……あーっもう、それは、こう!こういうふうに!!」

「終わったらアッチの椅子に座ってて!」

 これらのことを、自分は洗剤を計ったり皿を洗ったり製氷皿に水を足したり布巾を漂白したりしながら、ピシピシと責め立てるように命ずるのである。

 随所にパイプライン処理や、時として分岐予測なども入ってその最適化っぷりは有無を言わせぬ。

 多分、妻は私よりCPUコアや同時処理可能なスレッドが多い。

 ……ああ、妻はウチの総理大臣なんかするより、4ビットCPUのプログラマになったほうがよっぽど向いていたのではないかと、腹の底から思うわ。

妻の誕生日

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 私の家族は全員秋生まれだ。私も含め9月頃に誕生日が集中している。次女だけ10月11日だが、私が9月30日なので、同じようなものなのだ。

 今日はそうした我が家の誕生日月間のスタートの日で、妻の誕生日だった。

 ごちそうにしようと思い、赤山町に近い七左町の「はま寿司」で5人前の「贅沢盛り」というのをあつらえ、それからカバを一本、白ワインを一本、これも七左町のベルクスで買った。

 次女に5千円渡して、「お母さんが好きそうなケーキ買っておいで。場合によってはホールでなくて、一個づつの小さいケーキに蠟燭立てるのもいいかも」と命ずる。次女はよしきたとばかり、駅ナカのFLOに行き、上等のシフォンケーキを買ってきた。ちゃっかりしたもので、ケーキだけでなくいろいろな贈り物も買ってきた。こうなると、これはすっかり、次女からのプレゼントと言うことになってしまうわけだが、我が子ながら品選びにセンスがあり、妻が喜びそうなので許す。

 私は前日の帰りに銀色の首飾りをatreの洋品店「exberry」でラッピングしてもらって隠しておいたから、それが私からのプレゼントだ。

 夜、カバの栓を抜き、寿司を食べ、ケーキに蠟燭を立てて大いに祝う。

昼めし写真

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 めずらしく昼めし写真。家内の作るスパゲティに、卵をぽとんと落とすとうまい。しばらくそのままにしておくと、卵が固まりかけになって、それを絡めて食うのだ。

 スパゲティは自分の家内が作るのが一番うまい。……って言ったら周りからはナニ惚気(ノロケ)とんねん、歳考えやッ!とか言われてしまうが、旨いものは旨いので、仕方がない。

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偏執鍋親父

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PHM03_0451 涼しくなった。というか、朝晩、そぞろ肌寒さをも覚える。冬隣(ふゆどなり)である。

 そんなわけで、今日の我が家の晩飯は「初鍋」である。

 はじめ、昆布のみの出汁湯に豆腐だけであったが、まあ、茶人とか食通じゃあるまいし、家族の夕餉なんだから、というわけで、豆腐の後に白菜を煮、葱を煮、肉を煮、饂飩を煮て〆る、という塩梅で、久しぶりに楽しかった。

 食い終わって喋りあうことには……

ワシ      「なあ、おい。来週も鍋がいいなあ。何がいい?」

長女      「やっぱり、湯豆腐でしょ」

次女      「シャキッとハリハリ鍋かなあ、水菜買ってきてさー、おいしい豚肉も買ってきて煮てさー、ぽん酢でさー」

妻       「栄養から言えば、お肉も魚も野菜も入れて、寄せ鍋でしょ?」

ワシ      「……。ぬぅ。お前らは鍋というものが分かっておらぬわ!こういうものはだな、具材が少なければ少ないほど、素材の味わいが増すのだ!……長女ッ!お前が一番ワシの考えに近いッ。湯豆腐というのが正解に近いと言えようかのう?」

妻・次女    「えーっ、豆腐だけなんて、なによー!!物足りないからイヤよそんなの」

ワシ      「だーっ!黙らんかぁ!お前らのようになんでもかんでもグダグダと鍋で煮立ててしまっては、せっかくの材料の味が台無しではないか!ワシのような達人になるとだな、もはや、鍋には具など必要なくなるのだ!更に修業が進むとだな、具どころか、出汁もいらない、火も必要ない、鍋だけがあればそれで満腹し、百年の命をそれでながらえると、これは唐代の粋人、李汎宇もその著書『全界辞言考』において言及しているッ(全部嘘)!!」

妻・長女・次女 「そんなあ!!お鍋になんにも入ってないなんてえ!?」

ワシ      「ええい、貴様らは勉強が足りぬわ!かの大宰相チャーチルはだな、本来ベルモットとジンを配合すべきカクテル、マティーニはものを混ぜすぎだと言って、ベルモットの瓶を脇に置いて睨みながらジンを飲み、精神力で脳内にマティーニを現出させたのみならず、ついには秘書にベルモットを飲ませてその息をおのれに吐きかけさせ、ほのかにベルモットの香りのまざる息を嗅ぎながらジンを舐め、これぞ究極のマティーニだと言ったのだぞ!?鍋物もかくあるべしッ!!!」

妻・長女・次女 「お父さんだけ一人で勝手にやってくださいッ!」

機械と人間と男女

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 妻に言わせると「機械ほど私のいうことを聞かぬものはない。人間はそんなことはない。」のだそうだが、私に言わせれば「人間ほど私のいうことを聞かぬものはない。機械はそんなことはない。」のである。

 実際、妻と来たら、毎日毎日意のごとくならぬHDDレコーダーやスマートフォンの操作に癇癪を起こしかけ、私はというと妻にとってのHDDレコーダーやスマートフォンを人間に置き換えればそのまま同じだ。

 これを「男女の差」と言えばなかなか世間受けする書き物になるのだろうが、多分そうではない。単に妻と私の性格の差だろう。


 これは平成25年(2013)08月14日(水)22時43分にFacebookのウォールに書いた文章です。

食器を洗う

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 妻が次女と出掛けてしまったので、昼めしのあとの洗い物をする。といっても、食器洗い機に放り込んでしまえば終わりだから、楽なもんである。

 普段居慣れない流しの傍で、食器洗い乾燥機の動作をシゲシゲと観察する。うちのはナショナル製で、透明の窓がついているから、食器が洗浄される様子がよく見えるのだ。

 まことに効率よく、まんべんなく洗剤が吹き付けられ、排水され、すすぎ湯がかけられていく。

 だがしかし、気づいたのだが、これ…。「チャーッ」って、洗剤と湯をかけ回してるだけだよな…?

 ははあ。時間さえかければ、食器って、コスらなくったって、ちゃーっ、って、水かけときゃきれいになるんだ…。うーむ、勉強になったぞ。

 そういえば…。

 連想なのだが、以前に妻に聞いた話だ。

 妻は高校生の頃、ウドン屋でアルバイトをしていた。バイト禁止の高校なのに、妻もなかなかやる。それはさておき、洗い場をやるように言われたので、さっそく、家で洗うときのように気合いをいれてドンブリをスポンジで洗いはじめたのだそうな。そしたら、店の大将が

「コラコラコラコラっ!!ナニしとんねんネェちゃんッ!アカンやろがい!!…こんなもんはな、…」

ウドン屋の大将、やおら、ドンブリが満載された金属製の食器洗い籠を洗剤を張ったシンクにだぱーーんっ!とつけたが早いか、湯を張った方のシンクにこれまた、ざぱーん!とつけて引き上げて、

「こんなモンはな、これでええんじゃあああ!」

…と荒い息をついて見せたという。

 無論、妻は「ええええ…まさかこれでドンブリ洗い、おしまい…!?」と驚いた。こんな洗いかたで 洗剤などがきちんと落ちているとは思えない。だが、人間どんなことにも慣れるもので、しばらくバイトするうち、すっかりその方式に慣れてしまったのだそうな。そもそも、そんな悠長なことをしていたら、時分どきの客なんか到底こなせるものではないらしい。

 今も時々、外でメシを食うと、食器が汚れていたり、ビールのグラスから他人の口の臭いがすることがあるが(本当)、まあ、外で食うと言うことは、そういうことである。

 今は外食産業も食器洗い機が普及しているから、まずこのようなこともあるまいが、その食器洗い機が、記したごとく、「ちゃー…」って、洗剤と湯をかけ流してるだけなんだよな(笑)。

 そんな食洗機の研究と観察をする、オッサンの休日。


 この記事は、平成25年(2013)08月04日(日)13時06分にFacebookのウォールに書いたものです。