小池宏史氏を悼む

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 小池宏史氏がお亡くなりになったらしい。

 大変おいたわしいことである。ご冥福をお祈りする。

 私は小池氏に一面識もあるわけではなく、ブログにコメントを寄せたこともない。当然である。あまりにも世界とレベルが私如きとは違いすぎ、とてものことになにか気安く近寄れるような雰囲気ではなかったからだ。遠慮というよりは憧憬をこめて、ただただ無言で見上げていたというところだろうか。

 「バイエル・midi」等として検索すれば、何ページ目かにかならず小池氏のブログがヒットし、その演奏を聴くことができるから、バイエルを練習している人には知っている人が多いはずだ。私もそうしてネット上のバイエルに関する知見を渉猟するうち、小池氏のブログに行き当たったのだ。

 小池氏の演奏データは、見事などとは言うも愚か、凄絶とでも言えばむしろぴったりくるぐらいで、私が自分の粗雑な演奏データと聞き比べなどしようものなら、絶望を覚えてピアノをやめてしまうくらいのものである。いや、大げさなようだが、実際小池氏のデータに聴き惚れるあまり、しばらく自分の練習がおろそかになったことがある。そのことも、ブログに書こうとしたこともあるのだが、文章の上でとはいえ、小池氏のように高みの彼方におられる人と私を綯い混ぜて書くようなことをすると失礼だと思って、何も書かなかったことだ。

 だが、お亡くなりになったと知れば、話は別だ。

 どうしてお亡くなりになったのかなど、知る由もないが、ブログによればご家族、子供さんもおられるようである。ご家族様には、どうか悲痛を超え、なんとか元気を出して生きていかれることをお願いするよりほかはない。