知的経験のすすめ

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 実のところ、なぜこの古本を図書館でつい手に取ったのか、それがまったくの謎なのだが、これぞ我が意を得たり、というほどの読書だった。

 「知的経験」というから、中身はもっと勉強勉強した、読書自慢のようなことなのかというとさにあらずで、戦中戦後にかけての、開高健の少年時代の、濃密な「生」を通して、肉体の経験、手足に考えさせることを切々と説く内容である。

 今思い出したのだが、開高健の晩年のエッセイ「シブイ」をもう一度読んでみようとして開高健の並ぶ書架へ行ったがなく、なんとなく取ったのがこの本で、書名には覚えがあったが読んだことがなかったのでなんとなく借りた、というところだったか。

 ……なんにせよ、どっちもAmazonで買えば1円の古本なので、図書館で借りるより買った方が手軽、というような感じはあるが。