(はな)(いかだ)

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(はな)(いかだ)(ささ)(ぶね)ひとつ(まじ)えつつ   佐藤俊夫

#jtbt #kigo #haiku #jhaiku

 「夏雲システム」で関谷氏が運営しておられる「じたばた句会」に投句したものです。

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 「春は花、花は桜」という。

 愛用の歳時記、角川の合本の「花」の見出しを見ると、傍題季語には、

花盛り
花明り
花影
花時
花過ぎ
花朧
花の雨
花の山
花の昼
花の雲
花便り
花の宿
花月夜
花盗人

……と、ゆかしい言葉が並んでいる。花そのものでなければ、「花疲れ」「花(いかだ)」「花人(はなびと)」などという言葉もある。

 今年の桜は既に咲いたが、今日は雪が降っている。「花の雪」という言葉は歳時記に載っていないが、あってもおかしくないな、と思う。

 傍題ではなしに、見出し季語で「花冷え」という言葉もある。そこからすると今日などまさしく花冷えと言える。

花筏(はないかだ)

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花筏(はないかだ)

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花筏(はないかだ)避けて水棹(みざお)の不慣れかな   佐藤俊夫

#kigo #jhaiku #haiku #saezuriha

(平成25年に詠んだ俳句。……最初は「避ける」で読みました。)

散る前の桜は濃厚に薫る

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 散る前の桜の香りが濃い。

 香りも「薫り」と書くと、なにやら格調めくが、ここは「香り」と記しておこう。

 散ったあと、落ちた花びらも殊に香る。水のそば、皇居の外濠を歩いたりなどすると花筏から香りが立ち上る。

 昨日など、昼まではまだ満開下り坂、くらいの咲き加減だった東京の桜だが、夕刻に至って散り始めた。さっと風が吹くと、まだ吹雪とまではいかぬ、しかし桜の時雨とでも言うべきものとなる。この桜吹雪が香る。

 夜など歩いていると、桜の香りに驚かされることがある。

 普通、人がびっくりする場合というのは、音や光、あるいは思いがけず辻から人が出てきた、などと言うような時だ。香りでびっくりすることはあまりない。

 ところが、ぼんやりと歩いていて、不意に桜が香って、びっくりするのである。桜だけは別なのだ。

 匂いは大脳の古皮質に属する部分で感じるそうだ。大脳古皮質は人が無知蒙昧な獣だった頃から存在していた部分で、動物としての最低限の機能をつかさどるという。

 してみると、太古から猿人どもの周囲にあった桜樹の香りだけは、なにか別の感じ方をするよう、太古から連綿と続く人の遺伝子に刷り込まれているのかも知れない。

花筏を詠めないこともある

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 昨日次女のピアノ発表会の帰り、川口の荒川河川敷あたりの花筏を見て、これをなんとか十七文字に、と思った。

 ところが、今に至ってもまだ詠めぬ。

 苦吟、とは文字通りこのこと、なぜか言葉にならないのだ。

 そういうこともある。多分、脳の中の何かが減っているのだと思う。感動が薄いのだ。ものに感じる心が減っているから、言葉が減るのだ。