昨日、旧友F君からお土産に伊勢の名物赤福餅を貰った。
家族でムシャムシャ喰ったのだが、中に栞が入っていて、「伊勢だより・阿漕塚由来」とある。
阿漕塚
オッサンは生きている。
ダラダラ読んでいた開高健「巷の美食家」を図書館へ返しに行った。
この前までに読んだ「最後の晩餐」と同じ文章が編み込まれていたりして、ああ、開高健の文章って、アッチコッチ使いまわしなんだな、と、少しガッカリする。
入れ替えに小泉武夫の「ぶっかけ飯の快感」と言う本を借り出す。
いつも立ち寄る棚でふと目についたから借りただけで、この小泉武夫という作者が他に何を書いているどういう人なのかなど、何も知らない。
ついでに、その30センチほど離れた並びにあった岩波文庫、ブリア・サヴァランの「美味礼讃」上下を借り出す。
これは、美食について書かれた本にはだいたい引用される有名な本だ。
ちょっと怖いもの見たさと言うか、読んでおかなくては、というか、ムリヤリ借りた感じ。
月遅れ盆も旧七夕も明けた。週明けには旧盆、月明けには二百十日も来ようかという時候、突然涼しくなった昨日今日である。そろそろ新蕎麦、走り蕎麦の出るところであろうか。
さて、私の住む越谷市の蕎麦屋というと、北越谷にある「いしいのそば」が有名である。ここはこだわりの店で、おいしい。ただし、私の家からはやや遠く、駅からも遠いので、バスに乗るか歩くかになる。そこまでするのはちと億劫だから、どうしても車で行く理屈になり、そうすると酒が飲めない嫌いがある。
家の近所にはこの前まで地元の蕎麦屋さん「やぶそば 登戸店」があり、天婦羅でも丼物でも出前でも、何でもおいしかったが、惜しいかな、先年店じまいしてしまった。住宅街にある割には客が入っていないのを見たことがなく、よく繁盛しているように見受けられたので、店じまいは多分「引退」されたのではないかと思う。店主もおかみさんも若く見えたが、見た目より意外に高齢だったのだろうか。
近所にはいくつか別のお店もあったのだが、そのうちのあるお店などは火事騒ぎで閉店したりもした。蕎麦屋はどんどんなくなっていく。ラーメン屋は雨後の
そんなわけで、もはや、近所に見るべき蕎麦屋はないものとあきらめていた。あとは駅ビル「VARIE」の中にある「越後 叶家」とか、そういう会社経営の店になってしまう。
ところが、迂闊であった。灯台
新越谷駅の南側、VARIEの切れたあたり、以前よく行っていた「吉田耳鼻科」にほど近く、酒屋さんのある筋に、この蕎麦
この店は、「
行ってみた。
店内は明るくあっさりとしており、席も広々ととってあって、くつろげる。接客も明るい。表に面して製麺室があり、多分時分どきに行けば手打ちの様子が見られるのだろう。
蕎麦前に、まずはいちばんお安い酒、「吉乃川」を一本、肴はこれまた一番お安いシンプルなもの、「蕎麦味噌胡瓜」。
猪口はいろいろなものから好きなのを選ばせてくれる。暑いので、涼しげな緑のガラスのものにした。
これは旨い。
残暑とはいえまだ暑さの盛り、そこへよく冷えた胡瓜がたっぷりというのはなによりのものだ。蕎麦味噌はよく練ってあって、香ばしい蕎麦の香りと、実の歯ごたえがうれしい。蕎麦味噌はたっぷりと胡瓜につけてもうまいし、胡瓜だけ齧って、
盃に一杯酒が残っている頃おいに、「もり」を一枚たのむ。単純にもりをたのむと、普通の二八が出るらしいのだが、200円増しにすると「生粉打ち」、すなわち十割の蕎麦を出してくれる。但し、生粉打ちは一日に10枚限定打ちであるらしい。まだあるか聞いてみるとあるということで、迷わず生粉打ちにする。
旨い。香りと言い、口触り、味、喉ごし、十割蕎麦らしい十割蕎麦だ。
とかく十割と言うと、豪快な
蕎麦
蕎麦湯は濃厚で、蕎麦汁とこれまたよく合って、おいしい。
品 | 値段 |
---|---|
酒「吉野川」 | 300円 |
蕎麦味噌胡瓜 | 400円 |
もりそば(生粉打ち) | 850円 |
税 | 124円 |
合計 | 1674円 |
それでお値段はそんなに高くない。
これはいい店に出会えたなあ、と思う。これから折々、覗いてみよう。
SOBA満月 (そば(蕎麦) / 新越谷駅、南越谷駅、蒲生駅)
昼総合点★★★★★ 5.0
#kigo #jhaiku #haiku #saezuriha
さえずり季題【402】は「蟋蟀」「ちちろ」です。子供の頃、閻魔蟋蟀を沢山入れた虫篭を枕元に置いて寝たのですが、その喧しさに耐えきれず裏庭へ逃がしに行った経験がありまして。虫の声は四隅がお似合いと思うこの頃です。例句「一人居の明かり落とせばちちろ虫 武岡東西」 #saezuriha_odai
— 平坂謙次 (@hedekupauda) August 17, 2018