靖国神社参拝は

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 誠に恐懼のことながら。

 靖国神社へ先帝陛下の御親拝がなくなったのは、たしか昭和51年の事であったか。

 この年、私は10歳で、毛沢東や周恩来死去の報がテレビのニュース速報で流れているのを、年子の兄が「おかあさんおかあさん、テレビに『ケザワ』っちゅう人が死んだて映ってるでェ~!」と母に注進し、台所から慌てて居間に駆け込んだ母が、「ケザワケザワ言うから何かと思たら、毛沢東のことかいな、ホンマにあんたらは。……せやけど、死んだんかいな毛沢東。えらいこっちゃ」などと珍妙な会話があったのを覚えている。

 さておき、天皇陛下の靖国神社への御親拝はこの年が最後になってしまい、以後は勅使をお遣わしになるのみとなった。言うまでもなく、今上陛下におかせられては、即位後一度も御親拝はない。

 これを指して批判する向きもある。私も正直に言えば残念であるとは思う。また、いわゆる旧A級戦犯の合祀を先帝陛下が好まれなかったなどとする風説も伝え聞く。だが今は、個人的な感傷や風説はおこう。このことは、かしこきあたりにおかれて、国民の意向の大勢をよくお汲み取りになられただけであると解したい。

 というのも、例えば下って今日の終戦日。靖国神社に参拝した国会議員はおよそ70名であるという。両院議員が合わせておよそ700名だから、1割の議員が靖国神社に参拝しているということになる。言うまでもなく国会議員は選挙で選ばれるのであるから、まず、「国民の1割が靖国神社に参拝することを是と考えている」と換言できる。

 わずか1割の国民しか是としてないことを、天皇陛下にしていただくことは、たしかに難しい。

 もって得心すべきであろうか。

投稿者: 佐藤俊夫

 50代後半の爺。技術者。元陸上自衛官。2等陸佐で定年退官。ITストラテジストテクニカルエンジニア(システム管理)基本情報技術者

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