糞味噌一緒くたに「可能性」

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 こういう記事を見るたびに思うのは、記者にもう少し日本語センスを磨いてほしいということである。

 「誤爆の可能性が高い」という一節があるのだが、これが二つの点でだめだ。

 一つ目は、前後の文脈から過去の事だとは判るものの、この部分だけを読むと、「将来誤爆をしてしまう可能性が高い」というふうにも読めてしまい、過去・未来が判然としない、ということだ。

 二つ目は、「可能性」という言葉を何にでも連発するのはよくない、ということだ。記者の語彙が平板なのか、台風が来るのもオリンピックでメダルが取れそうなのも、糞味噌一緒くた、全部「可能性」と書き捨てて澄ましているのは如何なものか。

 「可能」という言葉は「(あと)()く」あるいは「(あと)()かりき」ことであって、前進的、積極的な事象に用いた方がよい言葉である。従って、可能性という言葉は「受験に合格する可能性が高い」などというふうに使うのが良い。

 上掲の記事の場合、戦争、爆撃、しかも「誤爆」という痛ましい事故で無辜の民が死んでいるのに「可能性」とは何だ、と言われかねないだろう。こういう場合は「おそれ」や「疑い」という言葉を選ぶのが良いと思われる。

 例えば、この場合は、未来過去をはっきりさせることと、いたむ気持ちを書き表すこと、また米軍当局の公式見解が調査中であることなど、それぞれを含み置いて、

「誤爆であった疑いがある」「誤爆の疑いがある」「誤爆した疑いがある」

……等と書くのが良いと思う。

投稿者: 佐藤俊夫

 50代後半の爺。技術者。元陸上自衛官。2等陸佐で定年退官。ITストラテジストテクニカルエンジニア(システム管理)基本情報技術者

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