「破獄」が、ビートたけし主演でドラマになり、テレビ東京から放映されるという。
- 破獄(テレビ東京番組サイト)
原作は言わずと知れた吉村昭の名作だ。
だいぶ昔だが、昭和60年(1985)に緒方拳主演でNHKでもドラマ化されており、今でもDVDが手に入る。
実は私は、若い頃、リアルタイムで放映されていたこのドラマを断片的に視聴し、緒方拳の名演に息を飲んだのだ。その印象が忘れがたく、数年してから原作を探して読み、いたく感銘を受けるとともに、この作品から吉村昭を知った次第である。
20代の頃、この「破獄」をきっかけに、「
子供が生まれた頃はアパート住まいだったので、数千冊の蔵書が住居を圧迫していた。しばらくは自分の楽しみごとなど我慢して赤ん坊の面倒を見るべきで、妻の勧めもあって、多くの蔵書を処分してしまった。その中に吉村昭の本もあり、誠に惜しかった。どうしても吉村昭の小説は
その原作が再びドラマ化されるというのだから、蔵書を
今度のドラマ化では、主演のビートたけしは原作では主人公となっている脱獄犯・佐久間清太郎に扮するのではなく、人情家の看守・浦田進を演じるという。浦田進は原作にもキー・パーソンとして登場するが、終始一貫して登場するわけではない。そうすると、また違った視点からのドラマ化なのだろう。佐久間清太郎は山田孝之が演ずるそうな。
ところで、「破獄」では主人公の名前は佐久間清太郎となっているが、モデルとなった実在の脱獄犯は「
実は、とうの昔に定年退官しているが、私の父はかつて大阪刑務所の刑務官であった。確か昭和29年(1954)拝命と聞いているから、この白鳥由栄の事件は終息していた頃だが、父は「若い頃、先輩からこういう事件があった、ということで、教訓・教材としてその話を何度も聞かされ、また資料などでも読んだことがある」と私に語ったものだ。
ともあれ、そういう色々なことがあるものだから、この本は好きだ。早速、本棚から引っ張り出して再読する。
いつも思うのだが、吉村昭の小説は文章が端正でいい。読んでいてストレスがない。特殊な言い回しや難しい単語は少なく、取材に基づき淡々と題材を追っていく。なのに、ふと気づくとそこには十分な文学的肉付けが施されている。そうした味わいがあるし、何度も読んでいる愛読書だから、楽しく読める。この月曜から通勤電車内の楽しみにし、じっくりと読んだ。今朝の電車内で読み終わった。
これがどんなドラマになるのか、楽しみだ。今日現在は前掲のドラマ公式サイトを見ても、「平成29年(2017)放映」としか発表されておらず、いつ見られるのかまったく不明である。はやく放映予定が決まらないものかな、と思う。
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