禁煙裁判の判例

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 行政書士の資格の勉強をはじめた。定年退職後家族ともども食っていくため、就職のせめてもの便(よすが)に、と考えたのだ。

 教科書をとりよせ、おっかなびっくり、イロハのイから開き始める。

 行政書士と言うと代書代筆がお家芸だから、さまざまな公文書式などを沢山覚えるのだろう、と思っていたらさにあらずで、「まず手始めは憲法から」となっていて、法律や判例をよく勉強しなければならないことを知った。これは虚を()かれた思いがする。

 そうしたわけで、教科書のはじめはものものしく「憲法・基礎法学」となっている。憲法の解説とともにさまざまな最高裁判例などが例示されているのだ。世間の事に物慣れない私にとっては珍しく感じられる判例も多い。

 その中に、右の写真のようなのがあった。

 未決の犯罪人が「拘置所で煙草を吸わせろ。吸わせないのは人権蹂躙だ!」と訴え、最高裁まで行ったという判例だ。

 いや、まじめな教科書のことなのだから、それにどうこう言ったって仕方がない。そういう裁判があり、そういう判決が出た、それが事実なのである。法学上、基本的人権と言うものが日本でどのように(とら)えられているかという、人権に関するさまざまな事実や判例を粛々と()、学習する、ということだとは思う。

 また、無論の事に、こんなバカバカしい訴えなど、敗訴に決まってはいて、教科書にもそう書かれている。だって、泥棒か詐欺師かは知らないが、ブタ箱(正確には拘置所)に放り込まれているような手合いが「煙草を()わせろ」ってゴネ回ったんだぜ?煙草なんか()えるわけねぇだろ馬鹿野郎。我慢しろそんなもん。何が裁判だ。

 ところが、こんな「煙草()わせろ」なんてことを、公器である裁判所を使って、それも、下級裁判所から最高裁判所まで上げたのだ。大変な浪費であり、こんなことにとりあわなければならない裁判官も弁護士も、誠に御苦労なことだ。

 はっきり言って、バカな裁判だ。

 こんなバカな訴訟に、真面目で優秀な裁判官や職員が何十人、いや、ひょっとすると百人以上もかかずらわされて、その人件費も含めたらどれだけ浪費されたか見当もつかぬ。

 何かと事あるごとに、「政治家の給料を減らせ」だなどというが、だったらこんなバカな訴えを起こす奴に公金を使うな、一発ビンタでも張って大韓民国の陸軍か、北朝鮮の労働教化所へでも払い渡してしまえ、と言いたい。というか、こういう手合いのせいで、人類の最高傑作「基本的人権」が物笑いの種になり、矮小化・卑小化されてそれを見直せなどという論が(まか)り通りかねない。

投稿者: 佐藤俊夫

 50代後半の爺。技術者。元陸上自衛官。2等陸佐で定年退官。ITストラテジストテクニカルエンジニア(システム管理)基本情報技術者

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