圧巻

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 最近、「ものすごく圧倒されるような、壮大な感じ、気圧されるような感覚」というような意味で「圧巻」という言葉を使っている人をよく見かけますが、それは使い方が間違っています。

 ……と言っても、多分、わかってもらえないということは、これも分かっています。

 多分「圧」という字の持っている感じと、「巻」という字の読みが「かん」「感」と混交して、そういう使い方をしてしまうのだと思います。

 しかし、言葉が違う意味で定着してしまうということはよくあることで、私のような一般人は、ムズムズと違和感を覚えつつ、我慢をしていくよりほかにありません。

 一番より抜きのところ、出色の所……というほどの意味から、例えばコンサートで演奏の一番盛り上がったクライマックスや山場を「圧巻」というのは、これは合っていると思います。ところが、今日読んだ文章の中に、

女優としての再出発…消えた千栄子を探し求めた人気芸人とは」(幻冬舎 GOLD ONLINE、青山誠、令和3年(2021)03月13日(土)00時00分)より引用。下線太字は佐藤俊夫による。

 千栄子が東亜キネマを辞めて京都を去った後の昭和4年(1929)には、鉄筋コンクリート4階建ての巨大劇場に建て替えられた。

 桃山風の大きな屋根がそびえる圧巻の眺め……。その威容に松竹の資本力を思い知らされる。

……というプロのライターの書いたものがあって、この「圧巻」は多分、間違えて覚えているんだろうな、「壮観」「威容」というような言葉と混同しているんだろうな、いくつもの著作をものしている文筆のプロでもそうなんだから、他は推して知るべし、……などとと思う次第です。


 この文章は、上左に掲示のとおり、最初は Facebook と Twitter に書いたものである。

投稿者: 佐藤俊夫

 50代後半の爺。技術者。元陸上自衛官。2等陸佐で定年退官。ITストラテジストテクニカルエンジニア(システム管理)基本情報技術者

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