一発で消し飛ぶ

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横綱空母 フランスでは、珍しい上下両院の合同緊急国会が開かれ、全議員あげて「♬オー ザルム シトワイヤン、フォルメ ヴォ バタイヨン……」と国歌ラ・マルセイエーズをがなり立て、断固断然、空母シャルル・ド・ゴールに陸海空の将兵を満載、これをしてシリア正面への征途に向かわしめたという。日本で言えば与野党衆参全議員が歩兵の本領か海ゆかばを絶唱し、旭日旗を振り立てつつ興奮のまま敵国へ自衛隊を投入するようなものである。

 日本人一般のセンチメントとしては憤怒に狂ったフランスを泣く、と言ったところだったのだが、それがまた、白鵬の「猫だまし」一発の威力たるや。ニュース・ヘッドラインはそれ一色、ソーシャルのアバターをトリコロールに彩って気分を出していた人々の頭から、パリの惨劇なんか跡形もなく消し飛んでしまったばかりか、苦言を呈した北の湖親方その人が急死したとあればもう、心はソッチに完全スイッチである。

 人の気分の中ではものごとの大きさ重さなんてものは、結局感情的に自分に関係あるかないかだ。シリア方面で手塞がりになった欧州ひいては米国は、老獪化したプーチンロシアにブチ切れ気味の難癖つけつつ、

「こらっ!日本ッ!!なにボケッとしとんねんっ!ワシらは忙しいんじゃ!何が猫だましじゃアホンダラ!……何?南シナ海?知るかそんなもん。お前ら自力でどうにかせんかい!ワシは知らんッ!」

……みたいな、ねえ。そうなってみないと自分の気分には関係してこんわナ。

 今日も人はバタバタと死ぬ。罪ある者も罪なき者も、一緒くただ。悲しい哉、悲しい哉、悲しい哉。悼む他にできることがない。悼むべし、悼むべし、悼むべし。

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