俳句は長年の私の楽しみだが、不得手な季語がある。それは「花」と「鳥」だ。実は私は多くの植物の名前を知らない。季節の花を見て「これは何の花だ」とパッと答えられないことが多い。
鳥もそうだ。最近環境問題が少しずつではあるが改善され、さまざまな野鳥が街にも戻ってくるようになったことは誰しも認めるところだと思う。なのに私は、もう、見ても全然何の鳥かわからない。そういう育ち方をしてこなかったのである。
しかし、私の両親などはさすがは戦前の生まれ、テレビなどのない頃に育っただけあって花鳥風月を友としており、その辺で見かける花鳥など、一瞥しただけで「これはナニ花」「あれはカニ鳥」と間髪をいれない。そんな親に育てられたのに私ときたらこの
俳句は「花鳥諷詠の文学」である、とは高浜虚子の定義だが、そんな花鳥諷詠を趣味としていて、肝心の「花鳥」に弱いとなると相当痛い。花や鳥には季語が多く、題材に事欠かないのだが、これに弱いということは、俳句の楽しみの大半を失っていると言っても過言ではない。
そんなわけで、以前から「植物図鑑」「動物図鑑」などは俳句を詠む際にどうしても必須である。四六時中いつもいつも重くて
その点、ネットの植物図鑑には重宝していた。しかし、ネットの植物図鑑も、何を手掛かりに引けばよいかわからないこともままあり、結局わからない花になってしまうことも多かった。
ところが、ここ数年で非常に重宝なものが出てきた。標記の「Google Lens」である。あらゆるものの名を答えてくれる。特に花には最強と言っていいのではないか。名前のわからない花があれば、とりあえずスマホで写真を撮り、「Lens」のボタンをタップすれば寸秒もおかず、例えば「
しかし、いかなこの Google Lens といえども、検出しやすい特徴に富む花のようなものには大なる威力を発揮するものの、同じ植物でも「木」には弱いようだ。名前のわからない木を撮って Google Lens にかけると、ずばり「木」と答えてきたりする。いや、あのな、「木」は
そういう難点はなくはないものの、それはまあ、今後の進歩に期待するとして、なんにせよ、Google Lens は俳句を詠むのによい。