引き続き60年前の古書、平凡社の世界教養全集を読んでいる。
第17巻の四つめ、「おらんだ正月――日本の科学者たち――」(森銑三著)を休みの土曜の夜、自宅の居間で読み終わった。
読みはじめるとすぐにわかることなのであるが、この書は少年向けに書かれたものである。江戸時代以前に活躍した日本の科学者たちについて、驚くべし、五十二人を取り上げ、戦前、雑誌「子供の科学」に連載されたものだ。「子供の科学」は戦前から現在までおよそ100年も続く子供雑誌である。
子供向けの連載であったにもかかわらず大人の鑑賞に堪える。読んで面白く、一つ一つの伝記が胸に迫る。
本書の皮切りはそのかみの名医「永田
気になった箇所
平凡社世界教養全集第17巻「おらんだ正月――日本の科学者たち――」のうち、沼田次郎による「解説」より引用。
p.544より
p.544より
森さんは『おらんだ正月』を少年たちのための書物として書かれた。しかしそれはおとなの読物として歓迎される結果となった。森さんはそれが多少ご不満のようである。しかしそれはこの書物が少年向きの書物として不適当なことを意味するものではない。それはこの書物が少年向きに書かれながら、その内容がしっかりしているために、おとなにも歓迎されたことを意味する。私はこの書物が今後ますます少年諸君に読まれると同時に、またいっそうおとなの読者にも読まれることを希望するものである。
次
次は第18巻を読む。「黄河の水」(鳥山喜一著)「史記の世界」(武田泰淳著)「敦煌物語」(松岡譲著)「長安の春」(石田幹之助著)の4書だ。