読書

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 引き続き60年前の古書、世界教養全集を読んでいる。第21巻のうち4書め、「東奥異聞」(佐々木()(ぜん)著)、帰りの通勤電車が草加駅で停車している間に読み終わる。

 著者佐々木喜善の師、柳田國男の代表著の一つに「遠野物語」がある。私は未読であるが、この遠野物語は、柳田國男が佐々木喜善から聞き取った岩手県遠野地方の伝承を記録したものである。

 本書「東奥異聞」は、その佐々木喜善自身が後年著わしたもので、遠野物語の底本の一部とでも言い得るものだ。日本民俗学の嚆矢の一つとして、大正時代に広く受け入れられたらしい。

 私が若い頃に読んだ故・西村寿(じゅ)(こう)氏のハードロマン小説「鬼」に東北地方の異教「オシラサマ」や「拝み念仏」といったものが登場していたが、そのオシラサマや拝み念仏を取り上げ、世間に知らせたのが大正時代の佐々木喜善だったのである。

 本巻の2書目、柳田國男の「山の人生」に、山で失踪する女の話や(うぶ)()の話などが出てくるが、いわばその「元ネタ」がこの書には多く記されている。読みやすい文章で、また珍しい話が多く、読んで面白い。

 佐々木喜善は経済的に恵まれず、病弱で、昭和8年(1933)、40歳代後半で亡くなったそうである。

 次も同じく世界教養全集第21巻を読む。次は巻の最後、5書目「猪・鹿・狸」(早川孝太郎著)である。この書は一体何が書かれているのか、想像もつかない。

投稿者: 佐藤俊夫

 50代後半の爺。技術者。元陸上自衛官。2等陸佐で定年退官。ITストラテジストテクニカルエンジニア(システム管理)基本情報技術者

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