晩めしの関東煮(かんとうだき)

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 晩めしの関東煮(かんとうだき)を、ウィスキーで食うか、日本酒で食うか、真剣に考える。まことに悩ましい。

 蒟蒻のぷるぷる熱々のところに溶き芥子(がらし)をタップリ付けて、ふぅーっ、と吹いて、ぶりゅっと齧って間髪を入れずぬる燗をぐーっ、次に大根のまだ少し固い目なところを皿に取って山椒の多い七味唐辛子をパラッと振って、その間にもう一口、ぎゅーっ、と、……ああ、こたえられん、と思う反面、大ぶりの氷をロックグラスに一つか二つ、けちけちせずになみなみと注いで、餅巾着(もちきんちゃく)か、厚揚げのよく味の()んだところを相手に、ひと口、ふた口、飲んではつまみ、やおら鍋に手を伸ばして煮抜(にぬき)卵をとって、半分齧ってウィスキーをひと口、黄身のところに煮汁をしみこませて、それを相手にまたひと口……ぬぅ、捨てがたい。

 晩酌はやはり、御菜(おかず)の一皿を相手にするのが旨い。

投稿者: 佐藤俊夫

 50代後半の爺。技術者。元陸上自衛官。2等陸佐で定年退官。ITストラテジストテクニカルエンジニア(システム管理)基本情報技術者

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