小池宏史氏がお亡くなりになったらしい。
大変おいたわしいことである。ご冥福をお祈りする。
私は小池氏に一面識もあるわけではなく、ブログにコメントを寄せたこともない。当然である。あまりにも世界とレベルが私如きとは違いすぎ、とてものことになにか気安く近寄れるような雰囲気ではなかったからだ。遠慮というよりは憧憬をこめて、ただただ無言で見上げていたというところだろうか。
「バイエル・midi」等として検索すれば、何ページ目かにかならず小池氏のブログがヒットし、その演奏を聴くことができるから、バイエルを練習している人には知っている人が多いはずだ。私もそうしてネット上のバイエルに関する知見を渉猟するうち、小池氏のブログに行き当たったのだ。
小池氏の演奏データは、見事などとは言うも愚か、凄絶とでも言えばむしろぴったりくるぐらいで、私が自分の粗雑な演奏データと聞き比べなどしようものなら、絶望を覚えてピアノをやめてしまうくらいのものである。いや、大げさなようだが、実際小池氏のデータに聴き惚れるあまり、しばらく自分の練習がおろそかになったことがある。そのことも、ブログに書こうとしたこともあるのだが、文章の上でとはいえ、小池氏のように高みの彼方におられる人と私を綯い混ぜて書くようなことをすると失礼だと思って、何も書かなかったことだ。
だが、お亡くなりになったと知れば、話は別だ。
どうしてお亡くなりになったのかなど、知る由もないが、ブログによればご家族、子供さんもおられるようである。ご家族様には、どうか悲痛を超え、なんとか元気を出して生きていかれることをお願いするよりほかはない。
佐藤俊夫さま
ブログへのコメントをありがとうございます。レッスンする側でありながら、私も小池宏史さんの演奏のファンでした。彼の音楽に対する真摯な態度と深い洞察力は、本当に尊敬に値するものでした。未だに彼を失ったショックから立ち直れずにいます。しかし、あなたのように彼の演奏を慕ってくださる方がいらっしゃることを知っただけで、嬉しい気持ちになりました。
気持ちに区切りがついたら「バイエル☆マニア」完成に向けて、微力ながらお手伝いさせていただく所存です。
野村茎一
野村茎一様
丁重なコメントをいただき、ありがとうございます。
私のような独習の者には、ネット上の知見は大変頼りになるものです。私と同じように、小池さんの演奏データに感銘を受け、それを大いに頼りにしていた人は、おそらくたくさんいると思います。
しかるに今度のことはいたましいというほかはありません。第三者に過ぎぬ私ですらそうなのですから、小池さんの師匠でいらっしゃる野村先生がどれほどお心落ちなされたかは想像に余るものがあります。
ですが、私のような者の追悼の気持ち、また拙い一文でも、いささかのお慰めになりましたようで、ほっとしています。
どうか気持ちを晴れやかにされ、健やかに芸術の道を究められますよう祈念いたします。
私も自分の道を進み、ゆっくりではありますが楽しくピアノを弾きたいと思います。
佐藤俊夫