酒が旨いのも如何なものか

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 よく飲む。

 酒量を誇ってうれしい歳でもない。むしろ酒量を控えたり、「カミサンに酒を隠されちゃいましてね」などと言ってみたりするほうがチト滑稽なシブいめの自慢になるだろう。

 だが旨いものは仕方がない。

 こう虫の声が響くと、夜が長くなってくると、どうしようもないのだ。

 昔持っていた開高健の「シブい」というハードカバーの初版本には、「まれにウィスキーを冷蔵庫に冷やしておくと言う仁を見かけるが、あれは大変聡明なやりかただ」というようなことが書いてあったように記憶する。

 私も若かったから、当時それをそのままマネしたものだ。だが、あまり旨いと思わなかった。青二才だったから、水で薄くなったウィスキーじゃないとダメだったのだ。氷にぬるいウィスキーを注げば、氷が解けて中途半端な水割りみたいな味になる。そのほうが旨いと思っていたのだ。

 ひとりの頃は、分不相応に高い酒をマズい飲み方で飲むようなアホなことばかりしていた。味も分からぬクセに、恥ずかしい自分だったと思う。ワイルドターキーだのメーカーズマークだの、中曽根内閣からあと、税制が変わる前、1本1万円もするようなものを、怪しいスナックで不味い氷に注いでもらって、今思えば爆笑もののツラで呷っていた。

 今ドラえもんかSFか魔法か、なにか天変地異でもあって、当時の酒場に突如降り立つことが今の私に許されたなら、そして都合よく私の手にコルトかスミスアンドウェッソンでも握らせておいてもらえたなら、躊躇なく全装弾数を若い自分に撃ち込むだろう。

 自宅の冷蔵庫で冷えているのは、無論そんなエエカッコシイの酒ではない。近所の薬局兼スーパーで買いこんできたものだ。小遣いで買ったに決まってますよ、ええ。サントリーに決まってるでしょ、問うまでもなく。いや、普通角瓶か「富士」でしょ。・・・角瓶買うくらいの見栄はまだワタシにもありますよ。

 それにしても、なんでこんなに角瓶は旨いのだ。

投稿者: 佐藤俊夫

 50代後半の爺。技術者。元陸上自衛官。2等陸佐で定年退官。ITストラテジストテクニカルエンジニア(システム管理)基本情報技術者

「酒が旨いのも如何なものか」への2件のフィードバック

  1. いいですね。お酒が旨いのは、健康な証拠ですね。私はビール党ですが、ときどき日本酒を冷やでのんだりもします。いま、ちょっと、ひとりでチューハイなんか飲んだりしているところです。若いころは飲みすぎて頭が痛くなったり、ゲロはいたり、してましたけど、今思えば、馬鹿ですね~。年とるとほどほどにお酒を楽しむようになり、大いに結構だと思います・・。

  2. >大阪府在住男性様
     お彼岸も終わり、夜が長くなりました。さあ、ここからが飲酒本番ですッ(笑)。
     チューハイ、旨そうですねえ。
     こんないい夜の秋に休暇なんかがあるもんだから、ワタシぁ、奈良漬みたいに程よく漬かっていますよ。
     飲酒運転なんかしてクビになるのは真っ平だから、2000円ほどするアルコール検知器を買いました。体の諸機能が衰えてくると、前夜22時の飲酒が翌日10時に検出されるなどと言う馬鹿げた事態も実際にあるのだそうです。
     明日チョイと近場へ出かけるつもりですが、運転前にはぁ~ッと検知器に息なんかかけてみるつもりです。

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