今日は自分の誕生日である。昭和41年、丙午生まれ、43歳。
立派な心がけで送っている人生ではない。二・三の憎しみや気がかりはいつもある。だが、多分、私などかわいらしい部類に入るだろう。
私は若い頃のほうが寛容で善人であった。その理由ははっきりしている。経験不足を呪って抹香臭い本など読みすぎたからだ。そのために随分損をし、侮られる原因を自ら招いた。汚れた世の中を呪って無軌道に走るのは若者の特権らしいが、若い頃の私は狂った笑顔を面貌に貼り付け、世の中は美しいと言い、勝手な自制と規律の中にいた。
人間、年を経れば世の中が美しく見えるようになるものらしいが、今の私は逆である。はっきりと汚れた世の中を憎むことが出来る。臆することなく人を憎み、そのうちの3人か4人など、死ねばよいと思っている。しかもその理由が理由になどなっていない。嫌いなだけなのだから、実に気分が良い。
30歳は大人の10歳、40歳は大人の20歳であるという。我ながらまったく幼い23歳であることだ。