テレビを見る

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 ほとんどテレビを見ない。ニュースが嫌いだからだ。ニュースが嫌いというより、思想的なニュースキャスターが嫌いなのだ。まあ、ご本人たちも結局のところ有名人で、キャスターなぞといいつつ、実質はタレント、芸人の類いである。自分の考えなんかどうだってよく、視聴者の情緒よりする上からの命令に合わせて色々と喋りまくらなくてはならず、それで私のような安物の偏屈おやじの憎悪をよぶのだから、よくよく考えてみると金持ちとはいえお気の毒というより他ない。

 テレビを見ないから、ドラマもあまり見ない。「あまり」というのは、たまには見る、ということだ。

 このところの朝のドラマ、「マッサン」は面白いから見ている。ただ、普段は見る暇がないので、家のレコーダーに一週間ぶん録り貯めたやつを日曜日に見ている。

 これだって、最初は見る気なんかなかった。ふとしたはずみで、途中からなんとなく見はじめたので、最初のほうを見ていない。

 それで、最初の方の見てなかったやつをこの正月休暇に見てしまうことにした。幸い、今のテレビにはネット機能があり、各種のビデオ配信サービスが使える。ドラマのバックナンバーが見られるNHKのオンデマンドサービスを向こう1ヶ月ぶん買った。いながらにして昔の番組をいろいろと見られるのだから、これは便利だ。月980円である。ずっと見るわけではないから、来月はやめてしまえばよろしい。

 マッサンの見ていない回は十数回までだ。オンデマンドサービスで見ていないところを順に見て、筋書きのわからなかったところを確かめるなどし、十分楽しむことができた。単品で買うと1回108円なので、十数回で980円払ったのはまず妥当な割引だ。

 しかし、1ヶ月間見放題なのをそれで終わらせるのはもったいない。どうせ1ヶ月間同じ値段で他の番組も見放題なので、何か他に見るものはないかな、と思ってメニューをあさると、一昨年ごろのドラマの「夫婦善哉」を見つけた。当時放映されていたのは知っていたし、もとより織田作之助を愛読している私である。放映当時、見てもいいかな、と思っていたが、そういうドラマが放映されていると知ったときには第2回くらいまで放映されてしまった後だったので、もうええわ、と見なかったのである。

 それを、先程からまとめて全部見た。

 今日になってから見て、良かった。もし放映当時見ていたら、私は怒り出しかねなかったろう。なぜかというと、ドラマは、平成19年に発見された未発表の遺稿、「続 夫婦善哉」の筋書きをも存分にアレンジしてあったからだ。「正」のほうは私が若い頃からの愛読書でもあり、各節をそらんずることすらできるほど何度も読んでいるが、反面、「続」を読んだのは恥ずかしながら去年のことで、ドラマ放映当時は遺稿が発見されていたことも、それが出版されていたことも知らなかった。去年岩波の正・続他12編の合本を書店で見つけて買うまでは、新潮文庫の古いほうを一冊愛読しているきりであったのだ。

 だから、もしドラマを先に見ていたら、「な、ななな、なんちゅう改変を加えよんねん、これでは原作をレイプするようなものではないか!」と、脚本家を批判しただろう。

 だが、そうではなかった。遺稿・続編を読んだ後で見て、本当に良かった。

 ドラマそのものは、原作の忠実な映像化ではなく、「夫婦善哉イメージビデオ」の趣である。台詞の登場箇所など自由に変えてあるが不快な感じではなく、かえって面白かった。

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