「足らず」と「余り」

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 人事異動のシーズンである。先週、先々週にかけて送別会が多くあり、人々の色々な去辞を聞いた。

 話し言葉ではついつい色々な言い方をしてしまうものだが、送別会の挨拶を聞くうちふと思ったことがある。「足らず」と「余り」に混乱がどうもあるようなのである。

 具体的には「2年あまりお世話になりました。」「2年足らずの間でしたがお世話になりました。」という言い方だ。

 1年10ヶ月は2年たらずだが、2年3ケ月は2年たらずではあるまい。同様に1年10ヶ月は2年あまりではないが、2年3か月は2年あまりである。酔席の挨拶のことだからと言って、どうせ誰も聞いちゃいないよ適当に言っとけ、というものでもなかろう。使い分けた方がいいと思う。

 さりとて、うまくぼかそうと「約2年」という言い方をするのもなんだか理屈っぽい。ビジネス報告会ではないのだから。

 「2年ほどの間」は当たり障りのない言い方だが、「ほど」という所にやや軽みがある。もし重く辛い2年間であったのならそれを表すのには馴染まない。

 「2年3ヶ月11日間お世話になりました」

 これも使い方によっては人柄が表れて笑いが取れるかもしれないが、科学技術の発表じゃあるまいし、これもなかろう。

 「概ね2年の間お世話になりました」

 「概ね」、て……。旧軍隊の検閲標語じゃあるまいし。

 まあ、目立たずスルーして貰うには、「2年間お世話になりました」って言っとくんでしょうね。

投稿者: 佐藤俊夫

 50代後半の爺。技術者。元陸上自衛官。2等陸佐で定年退官。ITストラテジストテクニカルエンジニア(システム管理)基本情報技術者

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