変人落想

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 このところ、よくアニメや漫画を見たり読んだりするようになった。若い頃は活字だけでなく漫画もよく読んでいたが、ここ数十年は活字にばかり親しんでいたので、60歳を前にしてまたずいぶん変わったものだと我ながら思う。

 アニメや漫画は楽しい。

 このところ楽しんでいるのは、「異世界おじさん」「葬送のフリーレン」「薬屋のひとりごと」だ。「薬屋のひとりごと」は単行本は買っていないが、「異世界おじさん」と「葬送のフリーレン」は単行本も全部買って読んだ。

 これら3作品のうち、「異世界おじさん」と「葬送のフリーレン」には、「旅」が共通項としてあるが、「薬屋のひとりごと」に旅の要素はない。他方、これら3作品に共通しているのは、いずれも「主人公が相当な変人 “変人落想” の続きを読む

なんでボイス

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 私如き素人からここまでの報道を見ると、海保機長が指示を取り違えたということで概ね決着なのだろうと感じられる。

 他方、航空機のようなハイテクの塊の管制が、未だにボイスで行われていることに疑問を覚える。

 航空機の管制は、ボイスで、しかも “なんでボイス” の続きを読む

「強靭」「したたか」「しなやか」考

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 「アイツはなかなかしたたかな奴だ」という時、そこに込められた意味合いは、多くの人にとって「なかなかのハード・ネゴシエーターで、立ち回り素早くかつ抜け目なく、少し狡猾なところもある」というようなことでまずニ致はあるまい。

 だが、「したたか」は漢字で「強か」と書く。「向う脛をしたたかに打った」などという用例では、そ “「強靭」「したたか」「しなやか」考” の続きを読む

ロード・オブ・ザ・リング~指輪物語

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 映画「ロード・オブ・ザ・リング」、第一作から「二つの塔」「王の帰還」までの3作、全部で9時間近くあるが、正月休みを使って全部見た。とても楽しかった。

 特に、第一作の最後から「二つの塔」の冒頭にかけて、魔法使いの賢老(イスタリ)・ガンダルフが地底に墜落しつつ死力を尽くして魔炎竜を(ほふ)るシーンにゾクゾクした。

 できれば、20年前の封切時に見たかったと思う。当時は子供が小さかったので、大人向けの映画を見ている余裕はなかった。

 今流行しているファンタジーものの下敷きは、全部このトールキンの手になる原作「指輪物語」にあるということもよくわかった。最近凝っている漫画とアニメ「葬送のフリーレン」で、魔法使いが魔法の杖を構えるポーズなんか、そのまんまロード・オブ・ザ・リングの登場人物、イスタリのガンダルフが魔法を放つところと一緒である。

 原作の翻訳は、評論社文庫から出ているようで、全10巻だ。そのうち読んでみたいと思う。

給料一件顛末(てんまつ)

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 今の会社に雇い入れて貰ったときに給料の相談をした。

 会長は私が提出した当時の源泉徴収票などを仔細に検分し、「あなたが今貰っている程度までなら払える」と言った。が、私はあべこべに、慌ててこれを辞退し、「その半分でお願いします」と値切ってのけたものだ。これを私は、前代未聞の珍事だと評価している。給料を貰う側が値切るなんて、実際珍事だろう。

 会長も耳を疑ったようで、「ハァ?!何を言ってる。……どういうことだ」と尋ね返してきた。

 これには理由がある。自衛官は “給料一件顛末(てんまつ)” の続きを読む

自衛隊の戦い

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 私は自衛隊にいた40年もの間、()(フタ)もない端的な言い方をすれば、人殺しの仕方を一貫して鍛え続けていたわけであるが、どの自衛官もそうであるように、それによって人を殺したことはない。

 だがしかし、そうやって対人戦を鍛え続ける一方で、自衛隊は常に人ではない他の何かと戦っていて、今もそれは続いている。

 思いつくまま挙げれば「ウイルスとの戦い」「牛との戦い」「鶏との戦い」「トドとの戦い」「鹿との戦い」 “自衛隊の戦い” の続きを読む

読書

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 引き続き世界教養全集を読む。第24巻の最後「たった一人の海 Seul à travers l’Atlantique, A la poursuite du soleil, Sur la route du retour」(アラン・ジェルボー Alain Gerbault 著・近藤等訳)を帰宅後の自宅で読み終わった。

 一書にまとめられているが、これは「たった一人の大西洋 Seul à travers l’Atlantique」「太陽を求めて A la poursuite du soleil」「故国への道 Sur la route du retour」という3書の合本(がっぽん)だ。この巻の半分ほどを占める大著である。

 子供の頃からこの巻は私の愛読書だったのだが、読んでいたのは「アムンゼン探険誌」 “読書” の続きを読む

葬送のフリーレン

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 最近再び漫画をよく読むようになった。今度は話題の「葬送のフリーレン」、アニメーションを全話見、既刊の単行本12巻を全部読んだ。

 この作品は、主人公のフリーレンがエルフであるため千年を超える寿命を永らえることが物語のキー・ポイントになっている。

 こういう疑似ヨーロッパ風世界観――『ナーロッパ』などと言うようだ。『小説家になろう』というサイトの『なろう』が由来らしい――の物語に出てくるエルフやオークは、どれもがイギリスの古典的名作「指輪物語」に出てくるものが原型となっているそうな。

 「指輪物語」は先の大戦中に作家トールキンが書いたものだという。有名で映画にもなっているが私は未見・未読である。今度映画を見てみようと思う。

 さておき、そうすると、この前から楽しんでいる「異世界おじさん」のヒロイン、「ツンデレエルフ」ことスザイルギラーゼガルネルブゼギルレアグランゼルガ=エルガ(この長い名前も物語のちょっとした鍵になっている)も、同じく長寿なのだろうが、今のところ物語には彼女の歳は出てきていない。これからなにかそれを軸にした話になるのかもしれない。

 どちらもまだ連載中の作品なので、ある一定のファンとの対話性というのもあるのだろう。これからが楽しみだ。