屈託の心情を文字列化

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 はあ、永遠も半ばを過ぎて、どころじゃない。お先真っ暗、ならまだいい。真っ暗になるべき「先」ってものが存在してねぇんだもんな、俺。

 「永遠(とわ)も半ばを過ぎて」というのは、自分で考えた文句ではない。他人の表現を借りたのだ。これは小説の題名だ。

 若いときは自分の目の前に横たわる、80年もの年月にウンザリしていた。「また日本人の平均寿命が延びた」などとテレビや新聞で言われるたびに、もう、辟易とした。80年もこんなことが続くのか、はやく終わってくれ、と思った。とっとと用事を済ませて、全部終わらせてゆっくり休みたい、と思っていたのである。

 ならばとっとと死ねばいいようなものだが、それは嫌なのである。自嘲気味に我と我が身を愛するが所以(ゆえん)だろうか。

 「キミたちにはまだまだ、将来・未来がある」と、大人や先輩に言われるたびに、「だから、その『将来や未来』にウンザリしてるんですよ」と内心は思った。80年だって!?冗談じゃない、それは「永久」とほとんど同じ言葉だ!

 アレを終わらせればコレ、コレを終わらせればまたアレ。アイツを打ち負かせば更に強いコッチの敵、課長になれば部長に負け、部長になれば社長に負け、社長になれば会長に負け、会長になればゴミ政治家に負け…。永遠に何者かに膝を屈し続ける永遠の80年。一本立ちの人になったって無駄で、例えば個人で商売をすればそりゃあ一国一城の(あるじ)と呼ばれもしようが、その主は客に負けるのだ。

 80年が大げさなら、定年までのほぼ40年だって、「40年だと!?やってられるか!!」と思ったものだ。

 だが、俺も50歳目前に差し掛かり、その永久も、半ばをとうに過ぎた。永久に過半があるなぞとは思ってもみなかった。給料を貰うようになって今34年目、早期定年の職場だから、あと数年で定年を迎える。定年まで数えれば全部で39年、もういくらも残っていない。

もうちょっと言い方ってモンがあんだろ

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 Facebookの広告に、なんだか、「モテ方」みたいなのの指南サイトが出てきて、鬱陶しいので非表示にする。

 なにが鬱陶しいと言って、「女性を落とす」という表現に不快感を覚えるのだ。

 「落とす」とは何だ、「落とす」とは。まるで女を物のように考えているではないか。

 せめて「女性の愛を得る」とか「女に愛される」というふうに書けないものか。

 しかし、性欲に餓えたアホ男にとっては、射的の景品を「落とす」ように、女は「落とす」ものなのであろう。どうにも仕方がない。若いって、乱暴だよな。

MIDI端子に

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 自分のピアノのMIDI OUTにArduinoをつなぎ、次女から取り上げた人形かぬいぐるみにサーボあるいはソレノイドを取り付け踊らせる、などもいいなァ。

PIC16F628とArduino

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 割合にシリアスな話なのだが……。

 休暇中にArduinoなどいじっているのは、実は、多少、以前の仕事上の屈託があってのことだ。

 4年ほど前、仕事で「PIC16F628」という石を触ったことがある。これは、新規の仕事ではなく、古いプロジェクトのメンテナンスだった。

 当時すでに古い石だった「PIC16F628」だ。36ピンのパラレルにつなぐROMライタでプログラムを焼く。

 使えるのはPIC16F628独特の、たしか1語長14ビットという変わったアセンブラのみ。

 しかも、いったいどういうマネジメントか、ソースコードが消失していた。ROMイメージからディスアセンブルした不完全なソースを参考に、バイナリを直接直さなければならなかった。

 そのプロジェクトはもう忘れられかけたプロジェクトで、それが立ち上がった頃は華々しくもてはやされ、かかわった人たちは表彰などされたのだが、私が始末を押し付けられた頃にはもう何年も経っており、腐ったプロジェクトに成り果てていた。

 誠意をもってメンテしたが、誠意を持とうが持つまいが、私には何の得もないし、また、組織にとってもなんの得もないという腐った作業だった。ただ、やらなければならないことになっており、しかも、それをやると私が叱られる、という、わけのわからない仕事だった。つまり、「叱られる奴を出さなければならない」という仕事なのだ。

 実は当時、既にArduinoは発売されて普及していた。私もそれを知っていた。もし、その腐ったプロジェクトが新規に始まったもので、最初から私に任されたものだったら、私はPIC16F628などではなく、携帯電話かArduinoを使用しただろう。

 そうできなかったことが、当時本当に悔しかった。

 ArduinoはPIC16F628のような苦労をしなくてよい。C言語ライクにプログラミングでき、倍長実数まで扱え、アナログ入出力ができ、ごく安い値段でイーサネットやBluetoothまで扱える。

 自宅の小机の上で「Lチカ」なんぞ試し、夜、赤いLEDが間遠に明滅するのを眺めると、ほんの数年前のそのことがホロ苦く思い出される。



立夏

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 立夏である。夏の分冊の歳時記へカバーをかけ替える。