ドラマ「坂の上の雲」雑感

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 さてそれにしても、このところ、常々思っていることがある。NHKのドラマ「坂の上の雲」のことである。

 このドラマは、原作にもよく沿って作られており、なかなか大作であって評価できる。製作陣営の技術と出演者の類まれな演技力を評価したい。老若男女、誰もが見てよい。

 だが、しかし、ある一点のために、ダメになってしまっている。

 それは、正岡子規が念願かなって大陸へ従軍に出るエピソードの部分だ。

 司馬遼太郎の原作では、この部分は、「須磨の灯」という章で、たったの2ページで済まされてある。問題の部分は、1ページにも満たず、わずか4行である。なぜこのように短いかというと、この部分の主題とするところが、念願の従軍も、病勢をつのらせる原因にしかならなかったということにあるからだ。病身の正岡子規が時代の空気にいてもたってもおれず、上司をかきくどいて取材に出たものの、それは「子供の遊びのようなもの」にすぎず、ほんのおさわり程度に大陸の要地を見ただけで終わってしまい、結局は帰国の船上で大吐血してしまう。「須磨の灯」の章の冒頭部分は、これらのことを、物語の進展の上で軽く述べているに過ぎない。

 ところが、NHKドラマときたら、これはどういうことであろう。侵略者の権化のような曹長率いる一隊が、中国人の集落を我が物顔に闊歩し、徴発と称して荷駄を略奪する。正岡子規は老人や子供を守ろうとし、それに異を唱えるが、軍国主義に凝り固まった曹長が無理矢理に暴力に訴えて子規を黙らせようとする。非力病身をも省みず、思わず護身のために身につけた家伝の脇差の柄に手がかかる子規。これをたまたま居合わせた森鴎外が、平和主義の代表のような表情で止めに入る…などという、原作には存在しない挿話が無理やりねじこんであるのだ。

 これは作品に対するはなはだしい侮辱である。一体どういう脚本家だ。脚本家の仕業かプロデューサーの仕業か知らないが、ひどい作り手だ。

 頭の悪い若者がこのシーンを見れば、明治時代の日本陸軍は、腐りきった略奪者の群れであったという風に、頭から信じ込んでしまうだろう。

 時代というもの、また日露双方の当時のありように関して、彼らはあまりにも不勉強というほかはない。しかもなお、これは原作の司馬遼太郎の作品に加えられた、いわば強姦にも等しい蹂躙であり、その文学的格調を大きく失わせるものである。

 これは小さいシミのようなものではあるが、見過ごすことのできない過失である。いわば、美しい反物に落とした一滴の墨汁のようなものだ。そのシミが、せっかくうまく出来ているドラマ全体を二流品にしてしまっている。

無謀再び!パッヘルベルのカノン その0

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 さて、昨日一区切りにしたピアノの稽古である。

 次なる曲は、そう、表題のとおりである。

 無謀である。

 だが、何年かかるやらも知れないが、根気よく稽古すれば、たぶん弾けるだろう。

さらば、全音「最新バイエルピアノ教則本」

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全音楽譜出版社
「最新バイエルピアノ教則本」

 さて、4年という歳月をかけて、ついに、この教則本の最後の最後の楽譜までを弾ききった私である。

 もう、この「全音・最新バイエルピアノ教則本」に、弾いていない楽譜はひとつもない。

 次にどうするかであるが、何か新しい、きれいな曲をひとつ覚えて、それから次の稽古、たとえばツェルニー100番を弾くなどを考えたい。

 チナミに、「全音・最新バイエルピアノ教則本」の裏表紙は、次のようなものである。

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全音「最新バイエルピアノ教則本」の裏表紙

 さらば、「最新バイエルピアノ教則本」。

付録・24の長音階と短音階

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 今日、「全音・最新バイエルピアノ教則本」の最後の応用曲、「アザリア ポルカ」を弾いた私である。

 普通、この応用曲を弾いてしまえば、もう最後だと思うだろうが、どっこい、これで最後とは思わないのが私である。

 「全音・最新バイエルピアノ教則本」には、この応用曲の後に、さらに付録として、「24の長音階と短音階」というスケールの譜が載っている。

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付録・24の長音階と短音階

 これまでにも、番外や一例として挙げられている例譜まで、すべてを弾いて録音した私だ。やはり、この付録も避けて通ることはできない。

 そこで、ここに下手糞ながら、その全部を録音したものである。

  1.  ハ長調
  2.  ハ短調
  3.  ト長調
  4.  ト短調
  5.  ニ長調
  6.  ニ短調
  7.  イ長調
  8.  イ短調
  9.  ホ長調
  10.  ホ短調
  11.  ロ長調
  12.  ロ短調
  13.  ヘ長調
  14.  ヘ短調
  15.  変ロ長調
  16.  変ロ短調
  17.  変ホ長調
  18.  変ホ短調
  19.  変イ長調
  20.  変イ短調
  21.  変ニ長調
  22.  嬰ハ短調
  23.  嬰ヘ長調
  24.  嬰ヘ短調
  25.  その他の短音階Ⅰ
  26.  その他の短音階Ⅱ

応用曲「アザリア ポルカ Azalia Polka」 その1

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 かねて練習中の「アザリア ポルカ」。

 だいたい弾けた、と思うので、これを「その1」としたい。

応用曲「アザリア ポルカ Azalia Polka」 その0.91

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 日常の寸暇を惜しんで練習に精を出している。

 朝5時から出勤前の稽古はもちろんのこと、今日は20時ごろ帰宅したが、こういう日は夕食後、21時前ごろまで稽古する。

 今日はパッと弾いたら、幾分ミスタッチはしたものの、あまりつっかえずに弾けたので、録音を残した。

応用曲「アザリア ポルカ Azalia Polka」 その0.9

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 暇を見つけては少しづつ練習している標記「アザリア ポルカ」である。

 今日は朝からだいぶ気合いを入れて何度も練習し、だいぶつかめてきた。あともう一息だ。

応用曲「アザリア ポルカ Azalia Polka」 その0.6

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 引き続き「アザリア ポルカ」、練習中である。

 だいぶ弾けるようになってきた。このまま続ければいいだろう。

 まだまだ、つっかえてばかりいるので、とにかくスピードを落として間違えなくなるまで練習し、それからスピードと表現をつける。つまり、いつもの稽古を根気よく続けるのだ。

黒部峡谷に行ってきた。

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 家族で「黒部峡谷」を旅した。

 黒部峡谷は飛騨山脈、通称「北アルプス」よりも更に北、「立山連峰」と「後立山連峰」を真っ二つに割って流れる峻険な峡谷であり、ほぼ富山と長野の県境付近にあると思えばいいだろう。

 この峡谷を旅行するにあたっての醍醐味は、なんといっても、「黒部ダム」を中心とする発電所建設の苦闘の歴史を辿ることにある。

 峡谷周辺の観光には、黒部ダムはもちろん、立山や黒部峡谷下流の探勝などがある。立山の高山地帯はロープウェイなどで気軽に楽しめる。峡谷の下流の探勝は「黒部峡谷鉄道」が有名だ。これは通称「トロッコ電車」と呼ばれているもので、もともとは水力発電所の工事のために敷設されていた専用の小鉄道だ。これが観光用に開放され、誰でもが楽しめるようになっている。小さなトロッコ客車がゴトゴトと峻険な谷を縫って走り、なんとも言えぬ興趣がある。

 黒部ダムには、自家用車で行くことはできない。近くまで自家用車で行き、トロリーバスやロープウェイ、ケーブルカーなどの観光用の乗り物を乗り継いでいくことになる。

 富山側からの場合は「立山アルペンルート」という経路を用いる。毎年春ごろ、雪の壁のそそり立つ廊下のような所を観光客が歩いているシーンがニュースなどで放映されるが、あれがそうだ。このルートの場合、自家用車の乗り入れは「立山駅」というところまでである。

 長野側からの場合は「扇沢」というところまで自家用車で行ける。ここからトロリーバスに乗ることになる。

 往復、途中までの往復、あるいは「通り抜け」など、さまざまな計画が考えられる。「通り抜け」をする場合、マイカーの始末に困るが、3万円ほどで「回送サービス」を行っている業者があり、富山・長野の間のかなりの長距離、車を運んでおいてくれるので、旅行する人は検討してみてもいいだろう。

【メモ】 ダム探勝にあたり、4人家族大人2人子供2人で長野側(扇沢)から富山側(立山)まで行くには現地のロープウェイやケーブルカーを乗り継がねばならず、

     大人 (1500+840+1260+2100+1660+700) × 2人 = 16120円

     子供 (1500+840+1260+2100+1660+700) ÷ 2 × 2人 = 8060円

     合計24180円

     …という結構な額がかかる。まともに往復すれば48360円というびっくりするような値段となる。我が家の場合、長女は中学生だから、これがもうちょっと高くつき、56420円という値段になる。

     一方、「ファミリー割引」というのがあり、これを使えば扇沢から富山側の「室堂」までの往復で、大2小2の合計4人で2万100円と、相当安くなる。途中下車が出来なくなるが、途中で引き返す人などほとんどいないだろう。往復コースを取るなら、ぜひこれを使うべきだ。

     もし扇沢から立山までのマイカーの回送を業者に頼んで「通り抜けコース」をとると、26000円ほどかかるので、乗り物代と合わせて、一日で5万オーバーほど必要となる。旅行する人はあらかじめこれを理解しておかなければ、びっくりしてしまうことになる。

 私は扇沢から黒部ダムに行き、反対の立山の中腹の「大観峰」というところまで行って引き返すことにした。

 自宅からのドライブは、東京外環・関越・上信越・長野各道を経由して黒部ダムを見、次に日本海側に出て北陸道を走り、富山から「黒部峡谷鉄道」の観光基地「宇奈月温泉」に至る。帰路は北陸・上信越・関越・東京外環の順に走る。往復800キロほどのドライブである。埼玉・東京・群馬・長野・富山・新潟の6都県をまたぐ、なかなか楽しい高速ドライブだ。

 黒部峡谷を訪ねるには、少々「予習」をしておいたほうが楽しめる。「予習」には、次のような各種の映像・書籍が使える。

  •  「プロジェクトX」

 これのDVDは既に絶版となっており、レンタルビデオ屋には置いていない。黒部ダムに関係するところは、前・後編の2編である。後編はダウンロード販売があり、3日間視聴可能で210円だが、前後編併せて見るにはDVDを購入するよりほかなく、これは約3800円と、少々値段が高い。だが、ぜひとも見ておきたい。

プロジェクトX 挑戦者たち Vol.7厳冬 黒四ダムに挑む ― 断崖絶壁の輸送作戦 [DVD] プロジェクトX 挑戦者たち Vol.7厳冬 黒四ダムに挑む ― 断崖絶壁の輸送作戦 [DVD]
価格:¥ 3,800(税込)
発売日:2001-11-22

 絶版とは言うものの、Amazonなどにはまだある。見ておけば感動が倍加すること間違いなしである。私は残念ながら、ダウンロード販売の後編のみを見ていった。

  •  「高熱隧道」(小説、吉村昭)

 私はこの小説家の「破獄」や「冬の鷹」などが好きだ。

高熱隧道 (新潮文庫) 高熱隧道 (新潮文庫)
価格:¥ 460(税込)
発売日:1975-10

 この「高熱隧道」は、有名な黒部ダムに先立つ戦前の話で、300人もの死者を出しながら貫徹した黒部第3発電所の工事の物語である。

  •  「黒部の太陽」(小説・映画)
黒部の太陽 黒部の太陽
価格:¥ 840(税込)
発売日:1998-06

 映画は昔の石原裕次郎主演のものと、最近香取信吾が主演したものの二つがある。私はこっちのほうは、残念ながら、小説も映画も見ていない。有名な黒部ダムの話である。

 因みにこれらのメディアは、すべて黒部ダムの売店で買うことができる。だが、やっぱり行く前に見ていったほうが楽しい。

 さて初日。朝は2時半に起き、家族を叩き起こして3時に出発だ。もちろん、前夜20時には就寝している。家族は車の中で眠ってしまうから、車に放り込んでしまいさえすれば、あとは私がひたすらドライブすればよい。休暇シーズンはこういう行動をするに限る。昼間は道路が滅茶苦茶に混むからだ。

Img_1864 早発ちの効果で、約300キロのドライブは順調・快適に進む。8時前には難なく扇沢に着き、トロリーバスに乗ることができた。乗っている間に、どんどん気温が下がっていく。 下界は気温37度だというのに、終点黒部湖駅についてみたら、気温はなんと15度の冷涼である。

Img_1793_2 地下の階段を通ってダムの展望台に出る。息を呑むような大きなダムだ。 観光のために放水しており、朝日を浴びて何重にも虹を生じている。

 堰堤の中ほどに出て覗き込むと、目がくらむような高さ、深い谷である。160名に及ぶ死者を出したというのもさもあろうと思う。この谷の峻険さのゆえであろう。

 遊覧船に乗って黒部湖内を一周する。両側に山肌が迫り、面白い。

 ケーブルカーとロープウェイを乗り継いで、立山の取り付きの「大観峰」というところまで行った。だが、朝のうちは非常に良い天気だったのだが、にわかに曇り、雨が混じるようになって、残念ながら立山からの絶景はものにできなかった。それでも、眼下はるかに黒部ダムを望むことができ、満足である。

 こうして過ごすうち、またたくまに昼を過ぎる。

 早い目に名物「トロッコ電車」の観光基地「宇奈月温泉」に向かう。扇沢から宇奈月までは百数十キロ以上離れているから、結構時間がかかる。実はトロッコ電車の終点地の「欅平」と「黒部ダム」は、直線距離だと十数キロしか離れていないのだが、あまりの峻険な地形と大山岳に阻まれて、このように大迂回をしなければならないのである。

 宿は宇奈月温泉の「宇奈月ニューオータニ」というところにとった。

 実にいい宿で、出迎えなど実に丁重である。部屋も料理もよい。バイキングの夕食はビフテキや刺身がたっぷり出る。風呂も黒部川に面していて、景色がいい。

 二日目は「トロッコ電車」を使い、黒部峡谷の観光を楽しむ。

 宿で「トロッコ電車に乗る」とフロントに言うと、ちゃんと車を一日、あずかっておいてくれ、駅までマイクロで送ってくれた。駅前の駐車場に車を停めると900円取られるから、得をした。

 トロッコ電車は多くの橋やトンネルをくぐって、Img_1873 がたごととゆっくり黒部峡谷を進む。涼味満点で、実に楽しい。

【メモ】 トロッコ電車はインターネットで予約ができる。私は9時の予約をした。座席は予約ではないが、車両は予約であり、100%座れるから心配はない。とはいうものの、窓際のいい席は早い者勝ちだから、早めに並ぶといいだろう。

【メモ】 黒部峡谷のトロッコ電車は、途中の駅で上下車すると、かえって空いている車両に乗れるようだ。「1号車」という一番後ろの車両は途中で上下車する人のために席が取り置かれているらしく、途中で下車する個人客はこの車両に案内される。ところが、観光客の多くは始点から終点まで乗ってしまうので、この車両に乗る人はそんなにおらず、どうもそのために空くらしい。ただ、途中上下車の場合、切符の予約ができない。途中駅で購入しなければならないのだ。そのため、モタモタしていると満席になって帰れなくなるおそれもあるので、そこらへんを考える必要がある。

【メモ】 黒部峡谷のトロッコ電車は、往路は右側の端の席に座ったほうが断然景色がよい。できれば車両の一番前の、なおかつ右がよい。写真を撮るのに便利だ。だが、「鐘釣駅」から終点「欅平駅」までは、左側がよい。

 午前中いっぱい、終点「欅平」付近を散策する。小さな温泉が点在し、宿泊などもできる。景勝「猿飛峡」などが見られる。

 昼から「鐘釣」という駅に引き返す。ここは、駅から河原に降りていくことができる。黒部川の流れに手足を浸すこともできるし、河原を掘ると、温泉が湧くという面白いところである。子供たちと汗を流しながら手で河原を掘り、温泉を溜めて座席用の石を並べ、「我が家専用足湯」を作って足を浸して遊んだ。

【メモ】 峡谷ではぜひとも清冽な黒部川の奔流に手を浸したくなるが、安全のためもあってか、河原に降りられるようなところはほとんどない。だが、「鐘釣」では、河原に降りて水に触れることができる。また、鐘釣駅に水道があるが、これは黒部の新鮮な水である。私もそこにぶら下げてある金属のコップで一口飲んだが、なかなか旨かった。水筒に水を満たしている人も沢山いた。

 こうして峡谷内で遊んでいると、あっという間に午後も遅くなる。宇奈月温泉に引き返し、土産物屋なぞ冷やかして、自宅に車を向ける。

 帰りは約400キロのドライブ。18時に宇奈月温泉を出発。高速道路はガラ空きで、23時頃には自宅へ帰り着くことができた。

 実にいい旅だった。

応用曲「エリーゼのために für Elise」その1.1

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 「アザリア ポルカ」ばっかり練習しているように見えるが、練習はたいてい「おさらい方式」で、たくさんの練習曲をおさらいしている。

 去年なんとかものにした「エリーゼのために」も、しょっちゅう「おさらい稽古」をしている。

 久しぶりに、録音して見たらどんなもんだろうと思って、録音してみた。

 …幾分ミスタッチしてしまうのは、もう、これ、どうしようにも直らないなあ(笑)。