ゆっくりと歩こう

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 梅雨だ。

 まことに梅雨らしい梅雨で、長引いているように感じられる。しかし、実は長引いているわけではなく、気象庁の統計によれば関東甲信越の梅雨明けは平年7月21日頃とあるから、ごくごく普通の季節の流れとは言える。

 (そぞ)ろ歩きで帰宅する。

 今夜のようにまた低気圧が近づいてくると、雨の匂いがする。子供の頃からこの匂いを感じると、「あ、雨が降る」と言ったりして、この匂いにあまり感じない人に「へえ、よくわかるね」と驚かれたこともある。

 しかし、それが雨や水の匂いだとは思いの外、先日、ふと興味を持ってネットで検索してみたら、前線が通過して気圧が急に下がる時、下水道から空気が吸い出されて臭いがするものなのだそうだ。水ではなく、硫化水素まじりの悪臭だったわけである。実際、よく振り返ってみると、この匂いは街なかで感じるもので、田舎や山ではしない。

 そういうことを思い知らされるような夜は、漫ろ歩くに限る。

 雨の匂いのする中、もし今、齷齪(あくせく)と歩けば、汗まみれの忙しい様子になって恰好(かっこう)がつかない。乾いた肌と湿った(ひろ)やかな気持ちで、木槿(むくげ)凌霄花(のうぜんかずら)芙蓉(ふよう)の咲いたベッドタウンの路地をしのび歩こう。

一杯

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 今年の台風は随分早い。

 だが、その早い台風、3号「セーパット」はそれほど大した威もふるわず、昨日の朝、太平洋岸の当たり障りのないコースを慎みやかに過ぎていった。今日はもう温帯低気圧に変わってしまっているが、それが北からの冷気を巻き込むのか、小雨(こさめ)模様で鬱陶(うっとう)しくはあるものの、涼しい土曜となった。

 植栽に心を込めている近所の家々の紫陽花(あじさい)額紫陽花(がくあじさい)が雨に濡れて美しい。

 ところどころ、蔓性の、(だいだい)色の鮮やかな、喇叭(ラッパ)形の大らかな花の咲く庭も見かける。この花は何というのだろうと検索してみると、これは「凌霄花(のうぜんかずら)」というのだそうである。

 最寄駅新越谷の南東、イオン(旧ダイエー)の北側に駐輪場があり、その車道沿いに赤い実の()る街路樹が植えられている。

 毎年変わらず実をつけているのだろうけれども、今まで気にしたことがなかった。居住20年になんなんとする今になって、ああ、赤い実が生るのだな、しかも大量に、今の時期に実をつけるのだ、と気づいたのだ。「この木は私の気にしない間、何十年とここで毎年赤い実をつけてきたんだな」と思った。

 少し調べると、山桃の木であることがわかった。食せば美味らしい。山桃は「山桜桃(ゆすら)」とも称するが、「山桜桃梅(ゆすらうめ)」とは別物のようである。

 さておき、今日は自家用車の6箇月点検で、午後遅く運転しなければならなかったので、このところの休日ごとの楽しみ「蕎麦屋のパトロール」はなし。

 自動車は特に悪いところもなく、エンジン油を換えた程度。

今日の酒肴・竹輪と茗荷と紫蘇の酒肴 運転の用事が済んでから、肴をこしらえて一杯。

 竹輪(ちくわ)茗荷(みょうが)紫蘇(しそ)を細く切り、塩を一(つま)み、檸檬(レモン)汁を適量、いつもの冷や酒を三合()む。

 今日はなんだか気分が乗らないので、動画はなし。