今日はいよいよ本番、次女のピアノ発表会であった。連弾で出る私は、ワキ役とは言え、初めての舞台である。近所に住む義兄夫妻までが見に来てくれた。
出演する人たちは、四十過ぎの私は別格として、上は高校2年生から、下は幼稚園の年中組の子まで、男女取り混ぜて幅広い。
次女は小さいせいか、緊張というものを知らない。ソロのプログラムの3人目にショスタコービッチのワルツとケーラーの「バースディマーチ」という曲を続けてサラリと弾いた。バースディマーチは一箇所間違えてしまい、惜しかった。だが、我が子のことで身内びいきながら、ショスタコービッチのワルツはなかなかしみじみとした出来ばえで、上手に弾けていたと思う。
休憩を挟んでプログラムは連弾に移る。いよいよ私たち父娘の出番だ。今日の出演者の中で、家族で連弾をするのは私たちだけだ。
出だしで少々呼吸が合わなかったが、次女が合わせてくれた。弾き始めたとたん、細かなことは全部頭からすっ飛んでしまい、ただただ弾くのに夢中になってしまった。ミスタッチはするわ強弱はヒドいわ。はじめはそれほど緊張しなかったのに、なぜか途中から指が震えるような緊張を覚えた。
それでもなんとかかんとか弾き終えた。ヘタでも、とてもうれしい満足感があった。次女もだいたい満足したようで、うれしい顔をしている。義兄夫妻から花を貰った。四十過ぎたオッサンに花があるとは思いがけないことで、うれしかった。
何人かの人に誉められたりして、お世辞とわかっていてもうれしいものだ。ピアノを演奏することの醍醐味はこのへんのところにあるのだろう。
状況さえ許せば、来年もまたやってみたいものだ。