不敬と平板

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 最近どうも報道の言葉遣いになじめなくなってきている。

 「平易な言葉で万人に分かりやすく」という新聞記事などの記述方針は理解できるが、それを言うあまり、どうも記事の語彙というものが平板化しすぎていないだろうか。

 先頃も、タイ国王陛下崩御に関する報道では「死去」という言葉ばかりが使われていた。私はこれは不可であると思う。

 いくら外国人と言えど、一国の国王、元首である。かの国の人たちが大切にし、敬愛している国王を「死去」と言い捨てて澄ましていてはいけないだろう。

 亡くなった場合の表現にも崩御(ほうぎょ)薨御(こうぎょ)薨去(こうきょ)・卒去・逝去(せいきょ)・死去・死亡など、ランクめいた幅があるが、せめてこの場合、最低でも「逝去」と言えないものか。「死去」では友好国の国王に対して不敬ではないか。

 朝日新聞なんかだって、例えばヒトラーが自決した時にも、ドイツは当時も盟邦であったから、見出しに「ヒ総統薨去(こうきょ)」などと書いたものだったが、今は誰が隠れようが亡くなろうが「死去」と書くのはどうしたことか。

 先日、(かしこ)し、皇后陛下のお言葉の中に、「『生前退位』という報道の表現に痛みを覚えた」とのご主旨を拝した。皇室内で話し合われた時には「譲位」というふうに表現されていたと()(うけたまわ)る。

 台風が来そうなのもオリンピックでメダルが取れそうなのも「可能性」、芸能人が死のうが国王が崩御しようが「死去」、犬の死骸でも国王のなきがらでも「死体」という、そんな平板な言葉しか選べない新聞記者などには、陛下におかせられて、「生前」という言葉の、また「退位」という言葉の、一体何に驚かれ、痛みを覚えておられるのか、おそらく、サッパリ分からないに違いない。胡散臭い業界でチャラチャラ暮らしているようなことだから、言葉に奥行きやいたわりというものを盛り込む能力がなくなっていってしまっているのだろう。

 「生前退位」なんぞという言い方・書き方では、大げさに言えば「死ぬ前にしりぞく」と言っているのと同じなのだ。高齢の人に、しかも恐れ多くも天皇陛下に、身内でもない者がよってたかって「生前」、つまり「死ぬ前に」という言い方はなかろう。皇后陛下が仰せられる通り、「譲位」と言うべきものだ。そこを新聞屋・テレビ屋どもは(かしこ)み承らなければますます自らの価値を下げることになる。

 だいたい、最近皇室、特に皇族方に対する報道の文章があまりにも不敬にわたるようになってしまい、嘆かわしいにも程がある。内容がどれもこれも下世話好きのするようなものに成り下がっているのもそうだし、また、形の上でも乱れているのは不可と言う他ない。

 「形の上でも乱れている」と書いたが、その「形」というのは、例えば敬称だ。天皇陛下、皇族方への敬称は、皇室典範により「陛下」「殿下」と定められている。法定の敬称なのである。ところが新聞・テレビときたらどうだ。天皇陛下に関する報道では(かろ)うじて「陛下」の敬称が用いられているが、前掲のNHKによる報道にしても「皇后『さま』」と書かれてあり、畏くも皇后陛下に対し(たてまつ)り、「さま」とは何だ「さま」とは、一体何事だ! ……と言いたい。

 最近このように、皇族方に対する敬称が、こともあろうに全部ひらがな書きで「さま」になってしまっているのは断固不可である。こんな言い方・書き方では、「ビートたけしサマ」「松本人志サマ」と同じ、鼻持ちならない金持ち芸人と、ひらがなとカタカナの違い以外は同じということになってしまうではないか。

 例えば「皇后陛下」「皇太子殿下」「皇太子妃殿下」「秋篠宮殿下」あるいは「秋篠宮文仁親王殿下」「愛子内親王殿下」「悠仁親王殿下」「彬子女王殿下」というふうに、「陛下」「殿下」「妃殿下」「親王殿下」「内親王殿下」「王殿下」「女王殿下」はちゃんと使い分けておつけしなければならないだろう。最近皇族方に男性が少なくなり、「王殿下」が()られなくなってしまったが、そのためにこのゆかしい敬称が忘れ去られてしまい、王殿下という言い方・書き方が消滅してしまうのではないかと心配だ。

 陛下・殿下・閣下等、やはり敬称を使うべきときには使うべきである。また日本では使われないが、高位の宗教者、例えばヨーロッパの法王や枢機卿、また仏教国の高僧などには「猊下(げいか)」「台下(だいか)」と言った敬称もあるから覚えておきたいものだ。

 日本語の表現力が平板化するのが残念、ということもある。言葉が平板化すると、平板化したその言葉が、逆にその表現対象までをも平板でつまらない、無価値なものへと変化させてしまうおそれがあると思うのだ。

 これが皇室に関する表現の平板化であれば、皇室をないがしろにすることに繋がるおそれがある。そして、皇室をないがしろにすることは自傷行為にも似て、日本人が自分で日本の価値を下げることに繋がっていってしまう。

 不敬にわたるというと、眞子内親王殿下について、いかにも下世話好きのする取り上げ方の報道があって、具合が悪いこと(はなは)だしい。

 親しまれ開かれた皇室をアピールするという意味で、ある程度こういう報道も許容されなければならない面もあるかもしれないが、しかし、なんとも、残念である。いや、殿下はお若いのであるから、多少自由な行動をとられても、それは仕方がないのである。報道の方でもう少しどうにかすべきだろう。誠にもって恐れ多いことだ。

最近時事

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言い換えりゃいいってもんじゃない

 またなんか、変な新聞の変な社説でこんなことを言っている。

 「子供の日」を「子どもの日」と言い換えたようないかがわしさだ。こんなのは体育という言葉の定義の問題に過ぎない。

 それに、「見るだけスポーツ」「娯楽スポーツ」、ひいてはサッカーの如き「賭博スポーツ」までをも称揚することに繋がるようで、あまり健全でない意見だと思う。

ジィさんバァさん凄過ぎ(笑)

 高齢化でもこれならまあ、……いや、いやいやいや、だめだだめだだめだ。老人に頼っておっちゃイカン。若いモンが働かにゃイカン。

意外、盤石の専制国家体制強化中かと思いきや

 あらまー……。軍人如き、あの中国政府の事だから、ギューッと統制できてるのかと思いきや、やっぱりそうか、という感じだ。まあ、前から分かり切ったことではあるが……。

 こんなことが起こるようでは危ないな。結局、政府がちゃんと軍を抑えきれてないのよ、尖閣だって領空侵犯だって何だって。

 大男総身(そうみ)に知恵が回りかね、ってなところだろうねえ。

亡くなった方には気の毒だが

 まことに気の毒なことである。しかし、まあ、こういう状況だったらしいからねえ……。かなり迷惑だったらしい。

コレコレ!外国人が勘違いするでしょっ(笑)

 何か、ニッセイがオリンピックの協賛・協力などの活動で作ったらしいが、面白すぎるワイ。

先王は立派な帝王だったが……

 タイ国王、ラーマ9世・プミポン国王陛下崩御の報に接す。

 盟邦タイの国王陛下であって、哀悼の限りである。タイ王国のために祈る。

%e3%83%af%e3%83%81%e3%83%a9%e3%83%ad%e3%83%b3%e3%82%b3%e3%83%b3%e7%9a%87%e5%a4%aa%e5%ad%90 ただ、聞くところ、次期国王の皇太子さん、どうも、何か、ちょっと、アレな人らしいね……。右の写真で見る限り、どうも、なんとも、アレだ。

 王位継承順位2位の、妹君・シリントーン王女は真面目で英明な人らしく、国民人気も非常に高いそうだが、独身で子がなく、将来の王権継承上少々問題アリとかで、このブッ飛んだ皇太子が即位しちまうらしい。タイの人々も大変だなこりゃ。

ある意味ラクな人も出てくる

 国会では毎日毎日稲田防衛大臣がさんざんイジメられ、泣かされるという始末。

 しかし、一般論として、論戦がこういった大臣個人の資質や発言に集中すると、各省庁の役人などは膨大な数字などを積算したり中身のある答弁を書いたりといった手間が減り、楽な面も出てくる。

 目立つ人が叩かれ役で新聞に書き立てられているようなこういう時に、深くひそかに、目立たず、隠れて、そしてシッカリと進行する何かがあるんだから、ま、色々なところをよく観察して、野党もせいぜい気を付けることでしょうなあ。

木村沙織氏引退

 女子バレーの世界的第一人者、木村沙織氏は引退の意向という。

 強く美しい選手で、引退は惜しいが、今後もまた違った領域で大いに活躍をされるよう祈る。

ボブ・ディラン、ノーベル文学賞

 歌手が文学賞、てのは初めてのことなんでしょうねえ。

 ファンにはタマランのだろうなあ。……私は名前ぐらいしか知らん。

南海電鉄不適切アナウンス、不覚ながら笑っちまった。

 アナウンスの対象となったのが中国人か朝鮮人かは知らんが、不覚にも笑っちまった。

 この車掌さんも、多分、それほど考えもせず、

「本日は大変混みあいまして、まことにご不便をおかけしております」

「本日は雨で滑りやすくなっております。ご不便をおかけしております。お足元に十分ご注意の上ご乗車くださいますようお願い申し上げます」

……くらいの、定型的アナウンスで言ったつもりなのだろう。

 大して罪深さは感じられず、些細な失敗だと思うが、しかし、それにしても「本日は外国人のお客さまが多く乗車し、ご不便をお掛けしております」はないよなあ(笑)。

 しかし、ここには、なんというか、先日の「近鉄・職務放棄飛び降り大怪我駅員」の一件にもあったように、何にでも口汚く文句を言って詰め寄るバカ客の姿が見え隠れするな。大阪特有の低劣な客の性質にいちいち対応しなければならない鉄道会社も気の毒だわ。