オタ

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 私的に造兵や軍事を研究し、これに没頭している者は「ミリオタ」などと言われて蔑まれているが、では、私的に経済や証券、通貨について研究している者が「エコノミック・オタク」、つまり「エコオタ」なんぞと言われて(あざけ)られているかというと、そんな言葉は聞いたことがない。

 確かに、自ら厳しい軍事訓練を受けることもなく軍用品の雰囲気や武器の造形のみに惚れ抜いているような者には多少の蔑感もなくはないが、それは自分の金銭を使うこともなくビジネスのまとう「意識の高い感じ」にのみ執着している「商人(もど)き」についても同じである。

 ただ、いわゆる「ミリオタ」と言われる人々が、ミリオタと呼ばれて怒っているかというとこれは必ずしもさにあらずで、彼らが自らを称して「ミリオタ」と言うときには、(むし)ろ自嘲とプライドと「お前らとは違うんだ」というようなスノビズムとが入り混じった、複雑な感情とそうせずにはいられない感傷とを()い交ぜにしているようである。