ええ根性しとるわ

投稿日:

 「あー、2本狂惨盗と申しますが」と名乗る、まるでキチガイみたいな、恐るべき名前の男から電話がかかってきた。

 よりにもよって、万物の霊長たる人間に、こんな姓や名があるなどとは思いもよらぬことだ。私自身の油断を言われると恥ずかしい限りだが、虚を突かれるというのはこういうことだ。

 こんな姓名、そもそも、どこからが苗字で、どこからが名前かもわからない。

 「2本」て、アンタ……。指を2本ですか?やめてくださいよ真ッ昼間っから。なんなんですか、物事は穏当でなくっちゃいけませんよ、ええ、ええ。

 その人の電話の仕方も、こんな変な姓名をしている人そのもので、私の応答など関係なしに、ほとんど意味の解らない繰り言を延々と述べ続けるというスタイルだった。名は体を表す、というが、まったくその通りだと思う。

 忙しかったのでその旨を丁寧に断り、電話を切った。物凄い名前のその男は、私が断っている最中も休みなくしゃべり続けていた。

 よくわからないが、こんなことをしでかすのは多分、社会主義者か共産主義者だろう。ああ、怖い。そのうちにテロでも起こすのではないか。

 しっかし、祝日ごとに軒先に国旗を掲げ、家の前で敬礼して「天皇陛下万歳」と叫び、毎年靖国神社に通っているような頭の悪い右翼(笑)の家へ、よく電話なんかかけてくる気になるなあ。エエ根性しとるわ。実際のところ、私の家のポストには、そうした日常の精神力が伝わるのか、変なビラなど1枚も入ったためしがないのだが。

狼狽連合

投稿日:

 「希望の党」こと小池新党の、条件付き民進党議員受け入れで連合が慌てている。

 面白(オモシレ)ぇ。

 「おかしい」(神津里季生)も何も、そんなもん、小池の勝手だろうよ、ハッハッハ。もっとやれ、エエぞ小池。暴れろ。

 ひょっとするとこれは、巡り巡って「連合潰し」に繋がるかもな。

 昔、国鉄の民営化で国労組はとどめを刺されてズタズタになり、その功績をもって中曽根康弘は後に大勲位となった。

 いやまあ、共産主義者や社会主義者だって多少はいていいけど、あいつらはちょっと力をつけると、ロシア・中国・北朝鮮なんぞと通謀(つうぼう)して悪事を働きだすからなあ。雑草みたいなもんだから、潰してしまうくらいでちょうど適度に生き残る。だから、連中は弱れば弱るほどいい。それが国のためだ。労組が結局のところ共産主義へ傾くことは、どうしたって否めないんだからさ。アカなんざ人殺しと一緒だ。

 かたやの小池百合子は、ちょっと前、防衛事務次官を大(ナタ)で切り捨てるという荒業を見せつけたものだったが、まず、それぐらいの力があるな。しかもクビにしただけじゃない、刑事裁判に引きずり出して犯罪人にし、返す刀で守屋武昌の女房や娘までズタズタに葬り去ってしまった。官僚一人クビにしただけだろ、と言ってしまえばそれまでだが、いやいや、相手は普通人じゃあない、政治家なみの、指定職の官僚だからね。さればこそ、小池百合子の力量たるや。

 連合潰しで名をはせるのは、ハテ、誰でしょうなア。小池氏本人か、そこへ繋がる後の歴史か。キシシシシ……。

クリスマスの日にち

投稿日:

 「オイ長女、クリスマスって何日だっけ、24だっけ、25だっけ!?」

……と気楽に質問して、「ええええ~っ、なんだよこの親父ッ!?」みたいな、「信じられませーン」みたいな顔を返される。

 だって、そんなもん、あんた、わからんやろ。クリスマスって、イブとかあって、どっちがどっちだかわかんねえんだもの。

「お父さん、それ、わざとギャグで聞いてない?……ギャグだったとしても、全然面白くもないしさあ」

 ええい、キリストの誕生日が一日ズレたからって、天皇誕生日を間違えることに比べたらそんなもんどうだってええんじゃあ、と叫び出しそうになるが、辛うじて思いとどまる。

 わからん。ワカランに決まっとるッ。なぜなら、私はキリスト教徒ではないからだ。

 では、あんたは何教徒なんですか、と問われるとグッと答えに詰まる。仏教徒ですと答えておけばあたりさわりはないが、仏教徒としての暮らしや精神を守ってなどいないし、神道ですなどとは言うも愚か、禊もしないし拝礼もしていないのであって、宗教的なあれこれなど、はっきり言って何もしていないのである。

 結局、ひょっとすると、俺は「共産主義者なのでは……」とすら思えても来るのである。共産主義者は、そりゃあ、宗教なんてありますまいよ。

フィデル・カストロ逝去

投稿日:

 キューバの英雄、フィデル・カストロが亡くなったという。

 単独力行の、今からはもう考え得ないような、パワフルで、そして、変わっていて、愛すべき独裁者だった。共産主義者だから私とは精神が相容れないが、巨星()つの感が胸に迫る。

 カストロが樹立したキューバ共和国は、貧しくとも福祉の充実をはかり、国家予算の2割を教育に、更に2割を医療福祉にあててきたという。このため、小学校から大学までの教育費はすべて無料で、教員ひとり当たりの生徒数は5人ほどである。日本の場合は教員ひとり当たり生徒17人ほどであるから、キューバの教育がどれほど手厚いかがわかる。識字率も教育のふるわない南米諸国ではトップレベルで、ほぼ100%であるという。医療も行き届き、スポーツも盛んだ。

 だが、貧しいがため、そしてなによりもアメリカの冷酷な制裁のために亡命者も多く、先頃ついに米国と握手したことは記憶に新しい。

 ともかく、往年の名革命家、チェ・ゲバラの盟友、最後の共産主義者、フィデル・カストロだ。

 祈冥福(めいふくをいのる)

建国記念日

投稿日:

天皇陛下万歳

 建国記念日である。国旗を揚げ、拝礼する。

 皇紀元年元旦、神武天皇が即位されたことをもって、今日が建国記念日と定められてある。旧暦の元日なので、ちょうど今の時期なのだ。ちなみに、旧暦は年によって新暦とのずれが変動するから、今年の旧暦の正月は来週、2月19日だ。

 悠久二千六百七十四年の昔ということになっているが、なにしろ文字すら存在しなかった昔のことであるから、一応形の上ではこのように定めた、ということなのである。「日本と言う国が出来たのはあんまりにも昔のことなので、いつできたのかもはっきりとはわからない。気が付いたときにはもう国があった。ただ、中国の文献などからは千数百年以上前からあるということはだいたいうかがい知れるし、伝説・伝承をよく整理すると、もう少しさかのぼるようだ。多く見積もると二千六百年という数字も出ることは出るので、一応それを採用している」というのが正直なところだと思う。

 このように、いつできたのだか昔過ぎてわからない国柄のわが国だ。共産主義革命の日にちを建国日にしているとか、誰かが独立宣言をした日を建国日にしているとか、そういう、人工的に作られた外国との比較は、できないのである。仕方がないから神話や伝承をもとにした日にちを採用するのだ。それが我が国のオリジナルである。

 さて、せっかくだから、日本書紀にはどう書いてあるか、抜き書きしてみよう。

「辛酉年春正月庚辰朔、天皇卽帝位於橿原宮、是歲爲天皇元年。尊正妃爲皇后、生皇子神八井命・神渟名川耳尊。故古語稱之曰「於畝傍之橿原也、太立宮柱於底磐之根、峻峙搏風於高天之原、而始馭天下之天皇、號曰神日本磐余彥火々出見天皇焉。」初、天皇草創天基之日也、大伴氏之遠祖道臣命、帥大來目部、奉承密策、能以諷歌倒語、掃蕩妖氣。倒語之用、始起乎茲。」

(佐藤俊夫奉訳

 かのと・とりの年の春、元旦に、神武天皇は橿原宮で即位された。そこでこの年を皇紀元年とした。同時にお妃も皇后に即位された。カムヤイのみこと、カムヌナカワミミのみことが皇子として生まれた。このため、古い伝承には「畝傍(うねび)橿原(かしはら)に、大いに宮を造営し、高天原(たかまがはら)を高くまつり、はじめて即位された天皇はカムヤマトイワレビコ・ホホデミのすめらみこと、と名乗ることになった」とされている。また、国のはじめのこの日に、大伴氏の先祖のミチノオミのみことがオオクメたちを連れてきて、秘密の唱えごとのまじないをし、災いを除いた。このとき「倒語(さかしまごと)」というまじないが世の中ではじめて使われた。)

 とある。

 古事記ではこのあたりはアッサリと簡単で、

「故、如此言向平和荒夫琉神等夫琉二字以音、退撥不伏人等而、坐畝火之白檮原宮、治天下也。」

(佐藤俊夫奉訳
 神武天皇はこのように不穏な情勢の有力者たちをうまくとり収めて和平を実現し、従わない者を退け、畝火の白檮原宮(畝傍の橿原の宮)で即位した。)

 となっている。

 いずれにしても、遠い遠い昔のことだから、「ホントに2千何百年も昔に建国したの?おとぎ話でしょ?」などと文句を言っても、言うだけ詮無いことで、はっきりしないのだから仕方がない。