妄想・老人自衛官

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 防衛力の増強を打ち出した政権は人材確保のため自衛官の採用可能年齢の上限を撤廃する法律改正を行った。これで、法理上は90歳でも100歳でも自衛官として採用できるようになった。

 意外にも、将来に希望の持てぬ老人達が志願に殺到してきた。防衛省としては定年で退職した元自衛官の志願を内心目論(もくろ)んでいたのだが、思いのほか一般の定年退職老人たちまでもが群れをなして志願票を投函してきた。

 老人たちの心中はといえば、これは単純な愛国心や義勇ではなかった。5倍に増えた防衛費を背景とする1千万円の年俸と死亡時の償恤(しょうじゅつ)金1億円は、老い先短い者にとって死亡保険金代わりの家族への遺産と見れば魅力という他なかったのである。しかも、用無し老人として家族から嫌われながら余生を送るより、いっそ戦争に行って射殺でもされたなら「じぃじはあなたたちのために命をかけて戦って死んでくれたのよ(泣)」などと、日頃冷たい息子の嫁が涙ながらに孫に語るかもしれないではないか。とどのつまり、言うならば、「(うと)んじられて百歳の天寿を全うするよりもいっそのこと戦死した方がマシ」という身も蓋もない自暴自棄である。

 そんな折も折、遂に発動されたのが樺太(からふと) “妄想・老人自衛官” の続きを読む

妄想・究極破壊兵器

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友人何某(なにがし)  オイ、佐藤、日本人はほとんどが親戚らしいぞ。

佐藤  (はじまりやがったぜ、また……) なにをまた阿呆(アホ)なことを。俺とお前は他人だろが。

何某  馬鹿、だからお前は思慮が浅いってんだよ。俺とお前は親戚だ。

佐藤  やめろよ、気色の悪い。

何某  いいから話を聞かんか。……いいか、 “妄想・究極破壊兵器” の続きを読む

【妄想】宇宙の中心で天皇陛下万歳を叫ぶ

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 皇居は現在、「〒100-8111東京都千代田区千代田1番」というところ番地にある。

 太古、この場所は世界の中心であった。否、世界どころか、実は、宇宙の中心であった。

 嘘ではない。これは、科学的に正しい。

 地球誕生、いや、太陽系誕生よりももっと前、宇宙はビッグ・バンをもって瞬時に生成されたのだということは、あらゆる宇宙学者の認めるところである。

 それ以前は質量・体積共に不可定量の「点」にすぎなかったということも、なべて科学者の一致した見解だ。

 「点」には体積がなく、したがって表面積もなく、ゆえに長さもない。つまり、すべてが中心である。

 このため、(かしこ)し、天皇陛下のおわしますところ、これすべて宇宙創世のビッグ・バン開始点である。

本業

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【例え話】
 私は米農家の親父です。

 私の田んぼで働いている雇い人も何人かいますので、ともかく田を打ち、稲を植え、収穫を上げるのが本業だと自ら任じています。

 ですが、なかなか集中できません。子供の頃からそうなんですが、私の親も何を考えたのか、「幅広い国際人になることが今の世の中大切だ。大学入れ」などと言い、なんで農家の跡取りが大学に行くんじゃ、などと思いつつも勉強して大学に入りました。しかし、根が馬鹿ですから、特別に賢い大学に行けたわけでもなく、地方の私大を遊びながら中途半端に卒業し、結局は米農家になったわけです。大学は経済学部でしたが、大学で習うマルクス経済学なんぞ、田んぼを打つこととは何のかかわりもなく、意味はありません。

 それはそれとして、どうも年がら年中、農協の役員選出だとか、どこの息子を農協職員に雇うべきかとか、村議会の運営だとか、私にとってどうでもいい議論に忙殺され、本業の田植えや潅水、刈り取りと言った作業にとりかかることができません。それをやろうとすると、「この減反政策のさなか、何が田植えだ!やめてしまえそんなもの」と怒鳴りつけられ、米農業に集中できないわけです。

 そんな状況なのに、農協の副理事が「お前は米農家の誇りを忘れたのか、米を作れ」みたいなことをこれまた怒鳴りつけてきます。そうかと思えば「高付加価値の作物を作らん奴はバカだ、意識革命だ」みたいなことをまた(とが)った奴が言ってきて、イタリアの名産品種のトマトの植え付けを試せなどと言うので渋々それを試したのですが、結局全部枯れました。そりゃあ、日当たりも地質もイタリアとは違うんですから枯れますよそんなもの。愚痴を言ったら「お前がやったことだろ、自己責任だ」と言われました。大損です。なんなんでしょう。

 理念だとか信念だとか、そんなこと、どうだっていいんです。私は自分が米農家でありたいと望んだわけではなく、やりたいことをやっているわけではありません。ですが、それを悔やんでなどもおらず、つまり今は米農家なんです。それが私のなりわいです。米を作るよりほかにどうしようもないわけです。それが私の人生であり、任務なのです。

 そのように自分を納得させているし、人を雇い、食べていけるだけのサイクルだってきちんと回しているのに、田なんか打ったり刈り取ったりするわけでもない周りの人たちが「田んぼつくれ」「いややめろ」「そうじゃない、田んぼつくれ」「違う、これからの農家は改革だ、変われない者はバカだ」と私を怒鳴りつけては、そのくせ、農協の用事や村会の世話や、そんなものばかり持ち込み、もともとそんなのどうでもいい活動ですからうまくいくわけもなく、そのせいで近所の人々との関係も険悪になってしまいました。

 それで悩み、「私、どうしたらいいんでしょう?」と旧知の人に漏らしたら、「お前は何がしたいんだ!?人間は信念だ方針だ哲学だ!!」とこれまた詰問です。哲学て、ねえ(笑)。百姓になにが哲学ですか。

 なんで人間は本業をさげすむんですかね。私には農協の人が馬鹿に見えます。誠実に本業に励むことに、なんで哲学だとか改革だとか、歪んだ考えを持ち込まなけりゃならんのでしょうか。

 普通の人は、そこまで大げさにものを考えて生きてなんかいませんって。哲学だ改革だ言う側だって、実際は何も考えないで叫んでるだけなんじゃないですか?


 上記は私佐藤俊夫が妄想した例え話で、実際の農家の状況や農協の状況などとは何のかかわりもない。単なる文字列である。

金ちゃん妄想

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 ああ、北朝鮮を俳優に仕立てた茶番、ロシア・中国共同プレゼンツのドラマが見えてきた。

 狡猾そのものじゃないか。

 実は、原爆や水爆と見えたものは、デブの金チャンが爪に火を(とも)すようにしてため込んだTNT火薬だったのだ。何キロトン、何メガトンとか言うが、文字通り、本当に爆薬を千トン、一万トンとため込み、せっせと山岳地帯の洞窟に運び込み、炸裂させただけなのだ。

 その爆薬は、ロシアと中国からどしどしと運び込まれた石油を遺憾なく注ぎ込んで合成したものだ。

 すっかり騙されて怒った米国が「大量破壊兵器許すまじ」とばかり北朝鮮に攻め込む。だが、もとより核開発なんかする力もないから、北朝鮮国内をいくら家探ししようが大量破壊兵器の「ヘ」の字も見つからない。

 つまり、米国は、イラクの繰り返しをもう一度やらされて、世界中に恥晒しをしてしまうのだ。

 赤っ恥をかかされて吠え面のアメリカを、ロシアと中国が糾弾する。「戦争までしておいてそのザマかよ!」「弁償しろ馬鹿野郎」「謝れアホが」……というわけだ。

【時事】専用車両の顛末(てんまつ)【妄想】

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 痴漢による列車事故が年間1万件を超えるようになり、政府もこれを無視看過すべからざる事態となった。冤罪(えんざい)だと屁理屈を言い立てる痴漢どもが線路に飛び降りて逃走し、あげく列車にはねられてオッ()ぬ。死ぬのは気の毒だが、半日がところダイヤが乱れ、大多数の無関係で善良なサラリーマンが会社に遅刻するのだから、これは経済上の影響も大きく、迷惑極まる。

 抑々(そもそも)こんな混雑する車両に男と女が十把一絡げ(じゅっぱひとからげ)の糞味噌一緒くたに詰め込まれ、混載されているからこういう悲劇が起きるのだ。女性は従来から痴漢の迷惑に耐えてきたが、堪忍袋の緒が切れて、扇千景国交大臣の頃に女性専用車が設定されるようになったのも記憶に新しい。

 だが、男の側からの「痴漢騒ぎの多くは冤罪だ!」という声も次第に大きくなり、政府も無視できなくなった。痴漢冤罪を未然に防止するべく、ついに、公共交通機関には男性専用車両、あるいは男性専用区域の設置が鉄道法等の関連法で義務付けられることとなった。痴漢冤罪などという面倒くさい状況に我が身を置きたくない向きは、男しか乗っていないことが保証されているこの専用車両に乗れば安心である。

 しかし、そんな専用車に乗ることを推奨・励行するほどまでにはラジカルでない人たちが世の中の大多数だ。過去も昔も痴漢なんかせず、整斉粛々(せいせいしゅくしゅく)と列車に乗って仕事に精を出してきたのがサイレント・マジョリティなのである。そこで、例えば列車なら、9両編成であれば、3両はサイレント・マジョリティのため従来通り男女混交、3両は男性専用、残り3両は女性専用、と言う風に、男女混交車両を残すことになった。3で割り切れない場合は、従来通りの男女混交車両の増減で調整する。

 しばらくはこれでうまくいくかに思われた。

 しかし、人間の性的嗜好は多様性に富む。ウハウハと鼻息の荒くなり出したのはホモ、ゲイ、カマと言った連中であった。これらが男性専用車両を「ハッテンバ」と看做すようになってしまったのだ。無論、女性専用車両もレズ、ナベと言った手合いの楽園となってしまった。

 こういった連中が車両内でヌチョヌチョグチョグチョと性行為(まが)いの痴戯(ちぎ)(ふけ)り始めると、さすがに性的にノーマルな、圧倒的大多数を占める人たちから怨嗟(えんさ)の声が上がり始める。

「何がダイバーシティだ」「ふざけるな。男は男、女は女だ」

……というふうな論が興奮の気味を帯び始める。

 政府は困惑する。たとえ少数者に過ぎない性的逸脱者達であろうと、平等に人生の幸せを享受し、人権が保証されて生きていかれるよう、折角これまで苦労して、政治を変え、世の中を変え、差別なき社会を目指してきたのだ。ダイバーシティは緒についたばかりなのだ。痴漢どものせいでこういう逆行的な差別論が復活してしまうと、政府のこれまでの苦労も水の泡である。

 そこで、公共交通機関の乗車区分は更に細分化されることになった。「男性専用車」「女性専用車」「女性同性愛専用車」「男性同性愛専用車」、すなわちこれである。8両編成の列車であれば、2両づつそれぞれに割り当てる。4で割り切れない両数編成の場合はノーマル男性専用車とノーマル女性専用車の編成数で調整する。

 だが、今日(きょう)び、少数派の意見は大きい。まずゲイの連中から不満が上がり始める。「俺はホモじゃない」。(しか)(しこう)して、ホモ連中もやりかえす。「バカにすんな。俺はゲイじゃない」。ここへ当節流行の「オネエ」などという一群が参戦してブーイングし始めたものだからたまらない。

 女性同性愛専用車に押し込められた連中も同じようなことを言い出す。「フザけんじゃないわよ、アタシはあんな連中とは違うのよ!」というわけだ。バイセクシャル、トランスジェンダー連中も大声を上げ始める。「政府はナニやってんだ!アベ政治を許さない!」……オイオイ、それは違うでしょ、などという普通の人たちの声など、この際完全に無視されるのであった。

 人間は差別をやめられない。差別を餌にして生きているばかりか、寧ろ差別を(たの)しんでさえいる。それは、被差別にして非差別の尖兵であるはずの同性愛者たちですら、思いのほか、外から見れば同類にしか見えない者同士で分け隔て、憎み合い、(さげす)み合い、差別し合うところに現れるのであった。

 ついに公共交通機関は厳密な性的乗車区分を施行せざるを得ない。「男性専用者」「女性専用車」「ホモ専用車」「レズ専用車」「ゲイ専用車」「オカマ専用車」「オネエ専用車」……

 混乱を生じ始める。なんとならば、ノーマルな「男性専用車」と「オカマ専用車」とでは、事情や状況が根本的に異なる。すなわち、男性専用車に乗っているノーマルな男連中は男に性的興味なんか抱かないから、性別乗車により性犯罪が起きなくなるのだ。ところが、ホモ専用車に乗っている連中は互いにホモが好きなのだから、やっぱり車内はハッテンバになってしまうのであった。これは「レズ専用車」も同じである。

 ところが、思いがけずこれに異を唱えだしたのはダイバーシティ活動家連中だ。「こんなのは差別を助長するばかりだ。人間は多様なんだ。多様な人と人との間に壁を設けてどうする」というのである。

 政府も馬鹿揃いで、またしても行政措置を変更する。「而今(じこん)以後、公共交通機関には『ダイバーシティ主義者専用車』を設けることを義務付ける」などと言いだしたものだから「それは違うでしょ!」と世論は爆発した。

 この異常な混乱を解決するため、性的逸脱者の乗車方法を統一することになった。ホモ、ゲイと言った連中は女に興味がない。逆に女の性的逸脱者も男に興味はない。それで、「性的逸脱専用車」を設け、これにさながら「市松模様」のように、生理的男と生理的女を、交互に規則正しく乗せることになったのである。

 これはつまり、車内で隣り合い、くっつき合う者同士、お互いに興味はないわけだから、痴漢冤罪は生じないという理屈になる。

 既に規律や規則正しさなどということには興味を持てなくなって久しい我々日本人である。従ってこのような乗車方法を徹底するのはまったくのところ困難を極めた。警察官が動員され、規則正しく交互に性的逸脱者を電車に乗せるのだ。

 ホームに警察官の警笛の音が「ビーッ、ビッ、ビッ!」と響き渡る。「そこのホモの方っ。列を乱さないで下さい!出生時の性別に従い、規則正しく交互に乗車して下さい!」

 列を乱すような者は「人類から差別を撤廃し、多様性を認めるべく改革に邁進する社会に対して、挑戦し反逆している不埒(ふらち)者」とされ、鉄道法その他違反容疑で検挙されるのである。

 数年前に流行した戯れ唄よろしく、男女男女男女、女男女男女男……という規則正しい整列こそが人類の多様性を守る行動の象徴となってしまった。

 人々は「多様性(ダイバーシティ)ってのは、こんなに疲れる、不自由な、カネのかかるものなんだな」と思って嘆息する。

 こうして、今日も差別を満載し、市松模様に男女が塗り分けられた珍妙な痴漢防止満員電車が東京へと走り去っていくのであった。呵々……。

【妄想】システム開発・設計基本指針第九項

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 例のアレをシステム開発で例えるなら、コーディング規約や設計規約よりも上位に置かれる「開発・設計基本指針」といった高レベルのルールと言って良いだろう。

 その会社は、無理なシステム化戦略によって一度は倒産寸前にまで傾いた経営をようやく立て直し、まさにこれから、というところであった。全社員が路頭に迷うかと思われたあの恐ろしい時代の経営の第一の反省点は、技術的にエレガントとは言えない開発・設計基本指針にあると考えられた。

 とりわけ、旧開発・設計基本指針では、ハードウェアへの直接アクセスについては最高経営責任者がこれを判断するとされていたため、結果的に総合的な経営陣の合議判断が排除される状況となり、ついには技術陣の専権事項となって、メンテナンスが不可能となるほどの複雑なハードウェア・アクセスがソースコードに埋め込まれていく状況となってしまっていた。

 新しい開発・設計基本指針ではこうしたことを深く反省し、技術的なエレガントさが追求された。株主の要求により、会社再生のおり経営陣に加わって再建に尽力した権威ある社外専門家達を招聘し、その意見を取り入れた。結果として、開発・設計基本指針の第九項に「ハードウェアへの直接アクセスを禁止する」という内容が盛り込まれた。また、ハードウェアにアクセスするための技術やノウ・ハウ、ハウ・ツーも、研究したり保持したりしない、と付記された。

 だが、経営立て直しから間もなく、いよいよ自社の基幹システムをこれにより刷新しようとしたとき、システム開発を取り巻く技術的トレンドは変わってしまっていた。標準化によるシステム・ライフサイクルの一元管理が新たなシステム開発パラダイムだと見なされるようになったのだ。そこで、会社の経営判断は、工場の生産ライン制御だけでなく、工場建屋管理システムの制御や、通風や採光、また給与、会計、人事システム、フィジカル・セキュリティなどの異質なシステム群をも単一システムとして一元管理し、これによりシステムの安定的な保守とコスト削減を実現するに決したのである。

 経営陣は商機に投じたシステムの早期完成を至上命題とした。このため、システム開発における技術的な適切性は、今回は二の次とされた。

 技術者たちは可及的速やかにシステムを完成させた。工場のラインを制御するとともに、給与や会計、フィジカル・セキュリティなどまで標準化・一本化することにより総合的で高速な経営判断が可能になった。またこのシステムは大幅なコスト削減も実現しており、会社の経営に大きく寄与することとなった。

 建屋管理システムのうち、特にフィジカル・セキュリティシステムはドアや窓の施錠機構、警報・監視装置などまで制御するため、ハードウェアへの直接アクセスが必要だったが、これは「最小限必要とされる矮小な事項に過ぎず、技術陣が当時当時の状況で判断して実装すべき事項である」とされ、技術陣の奮闘により最小限のハードウェア・アクセスでうまくシステム化された。

 一時期倒産寸前であった会社は、このシステム開発の成功もあって業界でも2位か3位の時価総額規模を回復し、有数の技術企業となっていた。

 このシステムはなんとはない不明瞭さと不安を(はら)みながらもその後長期間運用される結果となった。

 ところが、現在も稼働し続けているこのシステムのうち、特にフィジカル・セキュリティサブシステムのハードウェアへの直接アクセスが問題視されるようになった。

 ハードウェアへの直接アクセス部分は、はじめは規模も小さかったが、システムがメンテナンスされる際にソースコードもリファクタリングされ、個別にその場その場で書かれた間に合わせのコードでは既になく、気が付けばハードウェア直接アクセス用ライブラリとなって、全システムで最大のソースコード行数を費やす一大サブシステムとなっていた。

 だが、開発・設計基本方針の第九項には、「ハードウェアへの直接アクセスは、これを認めない。その技術は全社的にこれを保有しない」と書かれてあることには変わりがないのだ。

 当時の状況はこうだ。

 ハードウェアへの直接アクセスが禁じられているのに、ハードウェアの制御を実質的に命じられたプログラマたちは、

「ハードウェアアクセス用の海外製COTS利用ライセンスを購入してもらうしかない」

「だけど、海外製COTSは滅茶苦茶に高いし、それにウチの会社のフィジカル・セキュリティのハードウェアには合致しないから、特注カスタマイズしてもらうしかない」

「海外製COTSへロックインされる問題も怖い」

「だいいち、以前ウチの会社の経営が傾いて倒産寸前にまで追い込まれたのは、あの海外製COTSのメーカーにやられたようなものだ。だから、社内にはあの海外製COTSに対する感情的なしこりもある」

「これは上の方にかじ取りして貰うしかないよ」

……と、開発を暫時(ざんじ)停滞させざるを得なかった。

 そこへ、システムの早期完成を督励するため、本社から企画本部長が乗り込んできた。彼は

「君たちは何を屁理屈を言って手を(こまぬ)いているのだ?やるべきことであれば、テクニカルな規約や方針なんか、そんなもの、なんだというのだ。今すぐ技術者としてやるべきことをやれ!」

などと、いかにも琴線への触れ具合がいいようなことを言って技術者たちを鞭撻(べんたつ)した。

 技術者たちはこの本社企画本部長の容喙(ようかい)に従った。C言語で書かれたプログラムに、躊躇(ちゅうちょ)なくインライン・アセンブラのコードを埋め込み、ハードウェアに直接アクセスすることで問題を打擲(うっちゃ)ってしまった。まあ、ゆくゆくは経営トップから何らかの判断がなされ、そのうちにこの問題も整理されるだろう、それまでは辻褄(つじつま)の合わぬことは先送りだ。

 ところが、それから年余の時間が経つというのに何の判断もなされぬまま、このハードウェア・アクセス部分は、前述のように「社内申し継ぎ」の壮大なライブラリに成長してしまい、のみならず会社の資産にまでなったのだ。ところが、この大資産は経営トップの認めているものではない。

 中間管理層は困った。プログラマ個々が勝手にハードウェアにアクセスするコードをこっそり書いたと言うなら、それはプログラマの責任にして、露顕すれば個々のプログラマを叱責するなりして処分してしまえばよい。しかし、大きくなってしまったライブラリは、実質上会社の資産となっており、今更もうどうしようもない。それどころか、そのライブラリはもともとファクトリ用に書かれていたのに、パッケージ化されて社外に販売された金融などの大システムや、一般向けのホーム・セキュリティにまで組み込まれ、役立てられるようになってしまっているのだ。

 仕方なく、「このハードウェア・アクセスライブラリは、開発・設計基本指針には合致している。それは、ハードウェアにアクセスするための必要最小限の方法しか用いていないからである」という解釈が本社経営会議で議決された。全社が曖昧な薄笑いのうちにこれを聞き、受け取った。あの壮大なサブシステムが、「必要最小限」とな……?

 社員たちは、ひそひそと「どう考えたって開発・設計基本指針に違反しているよな、ウチのシステム」と言い合った。新入社員を教育するとき、教育係は

「このライブラリのコードは、ハードウェアへの直接アクセスを行っていない。素人がパッと見ただけならそのように見えなくもないが、これは、経営目的を達するため、必要最小限の処理を行っているのである。したがって、開発・設計基本指針の精神には合致している。……このコードがそう見えない者は、精神力でそのように見えるようになるまで頑張れ」

……などと教えるので、新人の失笑をかう始末である。

 社員一同、特に技術陣は釈然とせぬながら、ハードウェアに直接アクセスして迅速に目的を達することができるこのライブラリの恩恵に(あずか)るしかなかった。

 何度か、

「おかしいじゃないか、現にうまく動いているシステムが数多くあるにもかかわらず、これらは全社的な開発・設計基本指針とはまったく一致しておらず、経営トップもこれを資産として認めていない。ならば、開発・設計基本指針を変更すべきではないか」

という発議が行われたが、

「そのような現実路線は、技術的にエレガントとは言えない。技術至上主義を社是とするグループ会社全般の方針に違背する。この問題には、多くとも、コーディング規約などの部分的な改正や、パッケージ化して社外に販売しているものについては納品物メンテナンス規約などの新設により、限定的に対処すべきだ」

などという変ちくりんな理由で発議は認められなかった。枝葉で限定的に対応するなどということの、どこが技術的にエレガントなのか。

 だが、たしかに経営トップレベルの苦し紛れな判断回避も(もっと)もなことである。それはそうだろう。「できてしまったシステムに合わせて設計を変更する」などということがエレガントであるはずはない。それは出てきたバグを修正せずに、テストケースのほうを変更するようなものだ。設計に合致していなければ、そのシステムは作り直すべきなのだ。

 無論、現実には設計が間違っている場合もある。部分的な間違いが製造中に見つかり、設計を修正するということはあるだろう。だが、問題はそのような部分部分の誤りとは異なる。全員が薄々開発・設計基本指針の欠陥に最初から気づきながら誰もそれを言い出そうとはせず、本社の監査と株主が怖くて、開発・設計基本指針の欠陥をその場その場でうまくかわしながら大システムを製造してしまったのだ。

 もともと、この開発・設計基本指針は、一度は倒産寸前にまで傾いてしまった経営の反省点から生まれたものであり、トップからボトムまで、社員全員、倒産して路頭に迷うあの恐怖がトラウマとなって胸底に残り、この現状と乖離(かいり)した開発・設計基本指針に手が付けられないのだ。

【妄想】米国人だけでなく韓国人にも日本の防衛を(にな)わせよう

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 自分が筆の赴くまま書きなぐった文字列を見てしばし沈思黙考、合理的な方向をやっと思いついた。

 韓国に兵力を増強させる。常備70万?……少ない。もっと気合を入れろ。朝鮮民族の誇りを見せてみろや、などと言って煽れば、あいつらはバカで怒りっぽく、すぐキレるから「なんだとう!チョッパリ糞ニダーッ!」ってなわけで兵力を増強するだろう。

 常備150万、動員300万を韓国人に準備させるのだ。韓国人の実に6%が兵員というオッソロシイ大兵力である。

 そのために竹島の件などで多少愚弄されるのは、しかたない。そこは(いさぎよ)(あきら)める。

 その代わり、韓国人には、米国だけでなく、日本のためにも、中国・ロシア・北朝鮮の防波堤となって貰い、悪いが死んでもらおう。

 経済的である。米国人の命は高くつくが、韓国人はいくらか安い。強制徴用云々、従軍慰安婦云々に一人1000万ばかり払ったところで、人件費のべらぼうに高い日本人だけで常備50万人なんていう軍備を整えるより、よっぽど安い。

地球粉砕兵器を人工ブラックホールにより建造せよ

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 ブラックホールの研究が一歩進んだという。米国を中心とする研究チーム「LIGO」による重力波の観測がそれである。

 こうした研究が幅広く進み、ブラックホールのなんたるかが更に詳細に解明されてゆけば、いずれ、SF小説の中にしかなかった人工ブラックホールも作られるに違いない。専門家によると、物質をシュワルツシルト半径と呼ばれる限界の半径以下にまで圧縮すると、これはブラックホールになるのだそうである。例えば、地球ほどの質量のものであれば、直径18ミリにまで圧縮するとブラックホールになるのだそうだ。

 そうすると、地面から両手ひと(すく)い分、10センチほどの大きさの、文字通り「一握(いちあく)の砂」をとり、これを7億分の1ミリメートルほどに圧縮するとブラックホールになるのであろうか。

 人工ブラックホールは兵器に転用すると良いだろう。投射可能兵器にして地球に近づく小惑星等にこれをぶつけ、その衝突から地球を救うという妄想もよいが、これにボーイ・ミーツ・ガール・ストーリーでもくっつければ、なんだか安物のハリウッド・ヒロイックの一丁上がりみたいで面白くない。

地球粉砕兵器 ここはやはり、日本による世界征服の野望を達成すべく、人工ブラックホールを作動原理に採用し、核兵器の威力など遥かに超越した「地球粉砕兵器」の建造をこそ目指すべきだろう。緊急総動員した科学者・研究者をして兵器の建造に従事せしめ、地球粉砕を可能ならしむるべきだ。

 地球粉砕兵器は、ひとたび起動するや地球全部が粉砕されて消滅するという恐るべき兵器である。日本を含め、地球全部が消滅するので、核兵器のようにロケットなどに搭載して敵国の首都に精度よく投射するというような必要はまったくない。その場で炸裂、即地球消滅であるから、これは地球人全部を人質にとった自爆テロのようなものである。なァに、スーサイド・アタックはカミカゼ以来(このかた)日本のお家芸であるから、今更なんてことはない。

 地球粉砕兵器・ブラックホール爆弾の設置場所は、皇居の地下1000メートルがよい。そして、その起爆権は、(かしこ)し、恐れ多くも、ひとり天皇陛下のみがこれを保持したまう。

 これを起爆する場合、天皇陛下は衣冠にお姿を改められ、皇居の地下1000メートルまで降りたもうて、そこに設置された地球粉砕兵器におん臨みあそばされる。地球粉砕兵器の起爆トリガーは、大幣(おおぬさ)の姿をしている。そう、神社でお祓いの時に使う、棒に紙垂(しで)のついた、あのハタキみたいなやつだ。アレがほの暗い皇居の地下に、三方にのせて安置されているのである。

 天皇陛下が神事を執り行われ、この大幣を手に取る。大幣は形こそ古式ゆかしいが、その祓串(はらえぐし)はハイテクの塊で、天皇陛下の指紋や静脈パターン、脳波、DNA等あらゆる資格情報を検知して識別認証が行われる。天皇陛下以外の者の操作では、起爆は絶対に不可能なのだ。そして、陛下が(おもむろ)に大幣をサッ!と(はら)い給うや、見よ、間を置かず、八咫鏡(やたのかがみ)八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)草薙剣(くさなぎのたち)からなる三種の神器が、関東平野全域の地下に張り巡らされた極超大規模光速加速装置、スーパーLHC「大日本帝國号」によって光速にまで加速されて互いに衝突し、たちどころに10億分の1ミリ以下の大きさに圧縮され、「三種の神器ブラックホール」が出現するのだ。地球はおろか、地球周辺を漂う光すらすべて三種の神器に飲み込まれて消滅だ!祓穢(ばつえ)の神通力をここに見よ!腐りきった地球人類など全部(はら)われてしまえ!!

 これを可能にすれば消滅の恐怖は世界を屈服させ、すべての価値は万世一系の天皇陛下に帰着し、その(あまね)御稜威(みいつ)の下にひれ伏すこととなろう。ほんの僅かでも天皇陛下の御感(ぎょかん)を損ずることあらば、即、地球は粉砕、すべては無である。

 まことに恐懼(きょうく)のことながら、将来は女帝の治世も考えられる。全世界がこの女帝に(かしず)くのだ。

 嗚呼(ああ)、畏きかな、あなかしこ、恐懼々々、天皇陛下万歳。ブラックホール万歳。