今週雑想

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死者にここまで苛烈だったか?

 土佐清水沖に米海兵隊の戦闘機が墜落した。

 この土佐清水沖と言うのは、言う人に言わせるとこれがまた特別な意味のある区域でもある。

 事件に関する報道などがどうも気に入らない。「再発防止を厳しく申し入れ」というようなことばかりであり、発見されるまでにも不安を煽るようなニュースばかり出て、パイロットの安否を気遣うような報道は一切なかった。

 彼らパイロットは、遊んだり迷惑をかけに来ているのではない。仕事をしている。

 真冬の海で一昼夜、パイロットは死んだ。大尉で、ジェイク・フレデリックという人だそうだ。

 亡くなった合衆国軍人へのいたわりなどまったくなく、「こういうことは二度とやめてもらいたい」と言い放ってしまう私たちが恥ずかしい。いや、無論、軍人中の軍人であるかの大尉は、泉下(せんか)それを潔しとするかもしれないが。だが、もう少し(いたわ)ってやれないものだろうか。私たち日本人は、こんなにも死者に苛烈だったか?

鳥の哀れなる

 皇居の外濠(そとぼり)のあたりを毎日通勤している。今の時分は外濠に鴨が渡ってきていて、好餌場になっている。(かもめ)なのか海猫なのか、実のところ自然の風物に詳しくはない私には確と判らぬが、それらの海鳥が体の塩を洗いに来ていたりすることもあるし、鷺の類もたまに見かける。

 一方では、鳥インフルエンザの大流行で、ついには自衛隊まで出動する騒ぎである。何十万羽と始末し、事によっては百万羽にも達しかねぬという。

 渡り鳥にその原因を求める論調もあるようで、こうなってくると皇居濠端(ほりばた)の風物詩もなにやら哀れめく。

ふところ手帖

 勝新太郎の大ヒット映画シリーズ「座頭市」の原作として知る人ぞ知るのが子母澤(しもざわ)(かん)の「ふところ手帖」だ。

言葉
(ちつ)

 書物の(はこ)のような覆いのことなのだが、普通見慣れた函とは違い、特に和書を仕舞うのに使う、布張りの「四方開き」になったようなものを言うそうな。

 不意に以前読んだ西村賢太の文庫本を読みたくなり、本棚から2~3抜き出して読み耽っていたら、その中の「廃疾かかえて」所収の一篇「瘡瘢(そうはん)旅行」の中に、西村賢太をして一方で有名ならしめた要因、「熱烈なる藤澤淸造ファン」であることを示す描写として、コレクションを「帙に入れて蔵して」ある、と記した箇所があるのだ。それでこの「帙」という言葉を知った。

 しかし、話し言葉ではまず使えない単語である。相手に伝わらないし、にくづきのほうの漢字と間違われてもしまうだろう。

アクチュアリー

 保険数理や年金数理の仕事をする数学者のことで、資格もある。以前私の職場の同僚だったS君は、前の職場ではこのアクチュアリーをしていたという。

 そのことはさておき、この「アクチュアリー」という資格の名前、何べん調べても覚えても忘れてしまうのである。第一、聞き慣れない。

 それを言うと「ITストラテジスト」も似たようなもので、中途半端に情報処理技術者試験の名称を知っているような人にITストラテジストのことを言うと、よりにもよって「ITパスポート」と間違えやがることがあるから安心できない。

 だが、「ITストラテジスト」も「アクチュアリー」も、どちらも「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法の施行について(基発0318第1号・平成27年3月18日)」に厚生労働省お墨付きで専門家として認められているのだからおかしなものだ。

キュレーションメディア

 ネットに「キュレーションメディア」という語が浮きつ沈みつしている。一緒に取り沙汰されているのが「WELQ」「MERY」というそのキュレーションメディアなるサイトで、これは今を時めくかの「DeNA」が運営しているのだという。

 「まとめサイト」だと思えばよいようだ。微妙に違うのが「アンテナサイト」か?