早春

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 ともすれば雪交じりの冷たい雨とともに吹く風にすら何やら春めいたぬるみさえ感じられるのは、何も立春だの旧正月だのの声を聴いたからばかりでもあるまい。

 実際、気温はじりじりと上がっているようだ。

(ジン)(チョウ)()

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 去年の秋、9月下旬に植えた紅白それぞれの(ジン)(チョウ)()の蕾が大きく膨らみ、色づいている。

 Amazonマーケットプレイスで買って植えたのだ。先週「(かん)()」を施した。

 いい花が咲くのが楽しみだ。香りもよいことだろう。

SOBA満月~早春

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 読みかけの本を一冊持って、行きつけの蕎麦処「SOBA満月」へ一杯やりにいく。

 今日は蕎麦前に、牛蒡(ごぼう)と海老のかき揚げで、新潟の銘酒「吉乃川」のぬる燗を二合。

 この店は本当に揚げ物も上手で、このかき揚げだけでなく、野菜や穴子の天婦羅も本当においしい。天婦羅の盛り合わせもあり、これは旨いだけでなく、二人で食べても丁度良いくらいのボリュームがある。天婦羅の種物(たねもの)蕎麦には海老と野菜の2種類が、冷たいのと汁掛けのそれぞれにあり、どちらも旨い。

 ゆっくりとのんでから、生粉打ち・十割の「もり」を手繰る。いい香り、舌触り、喉越し、申し分なし。

 いい気分で帰路を拾った。

 今日は青空の広がる良い天気ではあるが、まだまだ寒い。だが、ご近所の植栽の梅はもう満開になっている。

 その梅の枝に、今年初めて目白が花蜜を啜りに来ているのを見た。梅の香り、尺を引く目白の声。今年の立春は去る2月4日、旧暦正月十一日である。既に暦は春ともなれば、さもありなん、というところか。

早春

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青空、古書

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 早春らしく暖かさが増し、青空の広がる好日であった。

 用事があって市ヶ谷まで行った。用事を済ませ、桜樹の蕾に鬱勃と内包されるものが予感される靖国通りをぶらりぶらりと歩き、九段坂を下った。

 神田の古書店街の一画にある蕎麦のチェーン店で遅い昼食(ひる)をとる。最近躍進中の「嵯峨谷」という店だ。このチェーン店は十割蕎麦を290円で出すことで知られる。麺は更科蕎麦に似ているが、これは韓国冷麺のように押し出し式の製麺機で茹で湯に直接押し出して作るのだという。トラッドな蕎麦屋が聞いたら怒り出しかねないが、しかし、この斬新な製法を編み出したことにより、驚くほど安い値段で更科蕎麦によく似た十割蕎麦を供し、しかも食味は悪くなく、すんなりとしなやかで香りも豊かだというのだから、大したものである。

 「出羽桜」を一杯たのみ、「天もり」を肴に飲みかつ手繰ったが、これで千円以下、700円台だというのだから恐れ入る。

 さっさと帰ればよかったのだが、天気が良く、陽気に常日頃の殺伐とした気持ちを(そぞ)ろ忘れ、古書店街でつい足を止めてしまった。

 本屋、とりわけ古書店街で足を止めてしまうと、そのまま古書の瘴気(しょうき)(から)め取られて正気を失い(笑)、ふと我に返ると無駄な買い物をしてしまっていたりするからいけない。だから、普段はガマンして足早に通りすぎるようにしているのだ。それなのに今日は、つい足を止めてしまった。

 2、3時間ばかり時間を(つぶ)してしまう。古典文学の全集もののバラ売りに、「太平記」がないかと探す。

 そうするうち、三茶書店という古書店で、新潮の「日本古典集成」の5冊揃いで4000円というのを見つけた。小遣いもあったし、買いかけたが、正気を失わなかった。ガマン。ホッ。

 ちなみに「太平記」は、岩波文庫の新品だと6巻セット箱入りで、8千円近くする。

 図書館で借りるのではなく、蔵書にしてゆっくり読みたいのだが、金もないことで、仕方がない。

 結局古書は何も買わず。しかし心苦しくもなく、三省堂に立ち寄って1階の洒落た雑貨などを見、それからのんびりと秋葉原まで歩いた。

 早春の風が光る。

 家への土産がわりに、新越谷のスターバックスでマグボトルにコーヒーを詰め、ココアパウダーで香りをつけた。

 ゆっくり歩いて帰宅。

(ふき)(とう)

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