人の子よ怒る莫 れと木通 生 る
刀豆 の剽 軽 独り箸をとる
曼 殊 沙 華 枯るやいましも晴れあがる
逆 剥 けの手で茸飯 をすゝめけり
自転車や雑 木 紅葉 を散らすベル
枸杞 の実や粥吹く唇 もくれなゐに
はる〴〵と茶室訪 ぬや竹の春
自転車や
はる〴〵と茶室
佐藤俊夫
オッサンは生きている。
暑い。
しかし、来たる8月7日(月)が立秋であってみれば、実は今が「晩夏」であるということは即座に納得のいくところである。
時候で言えば、去る7月23日が「
これくらいの季節の夜のことを「夜の秋」という。「秋」とついているが秋ではない。夏の夜、それも、ちょうど今ぐらい、夜になるとふと涼しさを感じる一瞬、虫の声に秋を感じるひと時もある。こうした、そこはかとない秋を夜だけ感じる、そんな晩夏の夕べの秋の気配のことを「夜の秋」と言うのだ。歳時記でもこれは夏の季語に分類されている。「竹の秋」とか「竹の春」などというような、真逆の極端な季語とは違うが、言い得て妙の面白い季語だと思う。