番及び酒並びに福

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 早風呂に入って一杯やりつつ本など読んでいたら、妻が「お父さん、(次女を)ちょっと迎えに行ってくるから、お鍋の番をしていて」と言う。

 不肖、私こと佐藤俊夫宅では、妻の命令は絶対厳守ということに決められている。

 お、(オウ)……とばかり台所にヨタヨタと出ていくと、竹輪(ちくわ)薩摩揚(さつまあげ)、大根が片手鍋でグツグツと煮えている。

 これは、こういうもので呑めという妻の優しさではないかいッ!(違)

 妻が玄関から出ていくのと同時に、ガスレンジのかぶりつきのところへ、酒を持って行って、立ち呑み、直箸(じかばし)で摘み始める私である。

 熱い。ホフハフホフ、……である。

 煮えばなの大根のうまさと言ったらない。

 至福だ。もう、人生などどうでもよくなってきた。