食器を洗う

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 妻が次女と出掛けてしまったので、昼めしのあとの洗い物をする。といっても、食器洗い機に放り込んでしまえば終わりだから、楽なもんである。

 普段居慣れない流しの傍で、食器洗い乾燥機の動作をシゲシゲと観察する。うちのはナショナル製で、透明の窓がついているから、食器が洗浄される様子がよく見えるのだ。

 まことに効率よく、まんべんなく洗剤が吹き付けられ、排水され、すすぎ湯がかけられていく。

 だがしかし、気づいたのだが、これ…。「チャーッ」って、洗剤と湯をかけ回してるだけだよな…?

 ははあ。時間さえかければ、食器って、コスらなくったって、ちゃーっ、って、水かけときゃきれいになるんだ…。うーむ、勉強になったぞ。

 そういえば…。

 連想なのだが、以前に妻に聞いた話だ。

 妻は高校生の頃、ウドン屋でアルバイトをしていた。バイト禁止の高校なのに、妻もなかなかやる。それはさておき、洗い場をやるように言われたので、さっそく、家で洗うときのように気合いをいれてドンブリをスポンジで洗いはじめたのだそうな。そしたら、店の大将が

「コラコラコラコラっ!!ナニしとんねんネェちゃんッ!アカンやろがい!!…こんなもんはな、…」

ウドン屋の大将、やおら、ドンブリが満載された金属製の食器洗い籠を洗剤を張ったシンクにだぱーーんっ!とつけたが早いか、湯を張った方のシンクにこれまた、ざぱーん!とつけて引き上げて、

「こんなモンはな、これでええんじゃあああ!」

…と荒い息をついて見せたという。

 無論、妻は「ええええ…まさかこれでドンブリ洗い、おしまい…!?」と驚いた。こんな洗いかたで 洗剤などがきちんと落ちているとは思えない。だが、人間どんなことにも慣れるもので、しばらくバイトするうち、すっかりその方式に慣れてしまったのだそうな。そもそも、そんな悠長なことをしていたら、時分どきの客なんか到底こなせるものではないらしい。

 今も時々、外でメシを食うと、食器が汚れていたり、ビールのグラスから他人の口の臭いがすることがあるが(本当)、まあ、外で食うと言うことは、そういうことである。

 今は外食産業も食器洗い機が普及しているから、まずこのようなこともあるまいが、その食器洗い機が、記したごとく、「ちゃー…」って、洗剤と湯をかけ流してるだけなんだよな(笑)。

 そんな食洗機の研究と観察をする、オッサンの休日。


 この記事は、平成25年(2013)08月04日(日)13時06分にFacebookのウォールに書いたものです。