軍楽隊を育てる

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 パプアニューギニア陸軍の軍楽隊の育成のため、自衛隊から教官を派遣するという。

 能力構築支援にも、まことにいろいろな分野があるものだ、と思う。

 連想するのは、日本が明治時代に招聘(しょうへい)した軍楽教官、フランス陸軍大尉シャルル・ルルーのことである。

 日本も明治維新間もない近代化の過程で大いにヨーロッパ列強の教えを乞い、あらゆる分野で伸長を図った。

 単に「勝つ軍隊」を育成するだけなら、戦術や戦技だけを学び、兵器を輸入し、あるいはその製造法を学べばよいようなものだが、「あらゆる次元で丸ごと取り入れなければ列強に負ける」ということであったのだろうか、海軍などは食事まで洋食に切り替え、帝国陸軍もそれまで畳の上に敷いた布団でしか寝たことのない兵を「ベッド」に寝かせることまで真似た。ついには「軍楽」までもその咀嚼嚥下(そしゃくえんげ)の対象としたのである。

 そのような背景にあって、ルルー大尉はいわゆる「お雇い外国人」として来日し、数年にわたり帝国陸軍軍楽隊を指導した。

 ルルーが作曲した「陸軍分列行進曲」は、今でも陸上自衛隊で儀式などの折に使用されており、他に警察などでも使われている。

 日本への西洋音楽輸入はこのシャルル・ルルーによる陸軍への教育が最初であり、帝国陸軍軍楽隊から波及していく形で日本の西洋音楽が育っていった。

 ともあれ、友邦パプアニューギニアの軍楽隊も、日本から学んで大いに国を発展させてほしいものだ。

国会図書館

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 はじめて国会図書館へ行った。「陸軍分列行進曲」のことを調べるためである。

 国会図書館は閉架式、すなわち書庫を解放しておらず、職員が出納する図書館である。入館すると一度付与されたIDカードをもとに図書の借り出し・返納が管理されるすばらしいシステムになっており、多数のコンピュータ端末ですばやく図書を検索・予約できる。

 「陸軍分列行進曲」について調べていたら、思いがけず、今まで聴こうとして果たせずにいたこの曲の原曲の一つ、「扶桑歌」のピアノ演奏が収められたCDが所蔵されていることがわかり、それを試聴することもできた。そのCDのジャケットから、作曲者ルルーのことがかなりわかった。

 いやーァ、楽しかったなァ、国会図書館。

 中には、「働きマン」とかいう当節流行のマンガを借り出して読みふけっているOL風の女性もいた。このOLさん、マンガ喫茶代わりに国会図書館を使っているんである。国会図書館にはマンガも含めて、古今のあらゆる図書が収められている。喫茶室も完備されているから、言わば最強のマンガ喫茶と言えよう。当然無料だ。