下手糞アンケート

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 Facebookの利用意識調査アンケートが表示された。全問答えた。

 それにしても、新聞の世論調査にせよ、職場や社会の様々なチャンネルにせよ、なんでこうも「設問が下手」なのだろう。

 選択肢の中には、まるで、「質問に対する私の答え」が含まれていないのである。

 アンケートを作成する者には、想像力や情緒、人間に対する洞察と言うものが欠けているのだと思う。

 うんこのようなアンケートに対する回答を拒絶し、放り投げてしまってもいい。実際、表現力を持たない多くの者や、時間のない者はそうする。だが、放り投げてしまうことは、無責任な態度だと思うのだ。なんとなら、私自身はアンケート全体の目的については理解しているからである。

 そんな私は、アンケートに自由記述欄などがあると、ついついダラダラと文章を書いてしまう。書き殴った挙句、書くところがなくなったり、文字数の制限があったりして難渋する。

 自由記述欄のあるアンケートならまだ私にとっては良心的というものである。この前かかってきた朝日新聞の電話世論調査なぞ、電話のプッシュトーンで番号選択するしかないのだから、こんなものはもう、人間を相手にしているとは到底思えない。2~3問答えたものの、選択肢にはまるで私の心を言い当てたものがなく、さすがにこれにはやむなく回答を拒絶し、途中で電話を切ってしまった。

 さておき、仮に自由記述欄のあるアンケートにダラダラネチネチと直木賞受賞級の切々たる文章をものしたとして、アンケートの集計部署では、私の書いたそんなダラダラ文章など、まったく読む気がないことも直ちに想像し得る。世の中の、9割とは言わない、6割くらいの人は、文字を読むのが苦痛であり、ましてや、誤字脱字に溢れ、汚い字で書き殴られた文章の中に一掬(いっきく)の真実を求めようなど、ありうべくもない。

 要するに私のしていることは、答えるにせよ答えないにせよ、全部無駄である。無駄な行動をとることほど馬鹿々々しいこともない。

 そんなアンケートに比べると、適当に不定形データを漁って世間の傾向を導き出そうというAIは、まことに平和だ。だがしかし、教師付きのAIの開発のことなど考えると、不完全で不愉快な過去のアンケートの結果などがAIの教師となるのだろう。そこでもう、AIすら嫌になる。

世の中、不変

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 某時某所で某目的のプレゼンに立ち会った。

 30がらみの他所(よそ)の人がプレゼンをしたのだが、それが、

そのやつガーッ、と調べて、ここでバァ~ッと、コラボっぽくアゲていってあげます

……とか、

「これをちょっとやって、実際のモノを作ってあげて、これをちょっと実際やって、まとめて、実際、これをちょっと納品していってあげる、と、ちょっとこういう、実際の段取りになるかと、ちょっと実際、思っております、実際、ですね。」

……などと、「ちょっと実際」「あげる」以外ほとんど意味のあることを言っていないというものであった。

 一言で言えば「バカッぽい喋り方」で、担当した人も、茶髪のバカっぽい人だった。

 しかもなお、それがすごく自信たっぷりなのである。

 こういう、白紙的に見たらバカそのものの人が責任を求められる説明を任されていて、しかもご本人がそれを寸毫も不思議に思っていない状況と言うのは、私の経験上から言うと、「その人が東大・京大、あるいは、海外の聞いたこともない大学の博士号をぶら下げるなど、それだけで社内の人をへへぇ~ッとひれ伏させてしまうような印籠を持っている」というものであることが多い。

 今回のケースを根拠もなく妄想するに、その人の茶髪や、チャラチャラした服装、下手糞な説明から言って、おそらくはスタンフォードとかMITとか、何かそういう大看板で入社以来数年程度をノシてきたのだろう。

 こういう人とは関係したくないなあ、一緒に仕事したくないなあ、と思ったのだが、その時の私は、部屋の整頓やドアの開け閉め、飲み物や備品を出し入れしているだけの下ッ働きに過ぎず、そういう意見が言える立場になかったし、ましてや「あなたのプレゼン、下手くそですよ。こういうことでは誰も納得しないですよ、練習したほうがいいですよ」と教えてやれる立場にもなかったので、何もしなかった。

 多分、あの人、連れてきた人たちへの態度や物腰から察するに、そこそこ地位のある人みたいだったから、このまま一生誰からも直した方がいい点を注意されず、下手糞なプレゼンをし続けて世の中を渡っていくんだろうなあ。

 で、こういう人って、元々最初からまとまることに決まってるような案件ばっかり受け持つもんだから勘違いしちゃって、

「見てみろ、俺のプレゼンで、この案件まとまっただろう!?……ウデだよ、ウデ、な?お前らよく勉強しろよ」

……とか下の人に言ったりして、下の人は下の人で

「もっちっろっんっ、そっのっ通りでございますともマネージャー!いつもマネージャーの大活躍で受注できて、ほんっと、勉強させて頂いてますよ、ハイーッ!!」

……とか揉み手しながらニコニコ笑ったりするんだろうなあ。それで私みたいな、隅っこのほうに霊魂みたいに(うずくま)っている冷笑的なオッサンに馬鹿だと思われたりして、そして、結局は、何も起こらず、何も変わらないんだ、と思った。