なんだっけあの本

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 核抑止力が無力化し、世界の紛争は白兵戦中心に退行する。……そんな未来の紛争を描いたSF短編小説を読んだことがある。17歳か、18歳ぐらいの頃だ。

 適当にキーワードを選んでググッてみると、だいたい思い出せた。確か、光瀬龍の「白兵戦」という短編だったか。今調べると、「SF未来戦記 全艦発進せよ」というSF小説アンソロジーに入っているようだ。

 その内容は次のようなものだった。細部に記憶違いがあるかも知れない。なんと言ってももう30年以上も前に読んだものだから……。

 各国とも敵の核兵器搭載戦略爆撃機や大陸間弾道弾の飛来を恐れるあまり、早期警戒のために警戒管制レーダ網の拡充に努め、出来るだけ早期に敵機を探知しようとそのマイクロ波出力を際限なく増強していった。度を越した電力でビームを照射したため、そのビーム内を不用意に横切った旅客機が一瞬で燃え落ちてしまうと言う不慮の事故が起こってしまった。

 ところが逆に、「これは『バリヤー』に使える!」ということになり、各国とも自国の上空を常時このマイクロ波バリヤーで覆うようになった。このために、戦略爆撃機も大陸間弾道弾もすべて上空で燃え尽きてしまうようになり、結果として核戦力も航空戦力も、まったくの無意味になってしまった。

 しかし、人間は戦争をしたがるもので、戦争はなくならず、核兵器がないため、戦争はすべて歩兵による白兵戦にまで退行してしまった。ただし、兵器は旧態依然の小銃などではなく、レーザー・ガンによるものとなった。レーザーを吸収するシールド溶液が開発され、それを全身に浴びて出撃すれば、3度までの被弾に耐えられる。2度被弾すると後方に下がって再びシールド溶液を浴びる。たまに3発喰らって死ぬ奴もあるが、ごく稀だ。

 なんだか懐かしいのと、着想になんとも言えぬ魅力を覚えるので、また読みたいのだが、無駄遣いするのもどうだかな、と思ってそのままになっている。Amazonで注文すれば、古本が1円からあるが、送料もかかるし、ねえ。