妄想・老人自衛官

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 防衛力の増強を打ち出した政権は人材確保のため自衛官の採用可能年齢の上限を撤廃する法律改正を行った。これで、法理上は90歳でも100歳でも自衛官として採用できるようになった。

 意外にも、将来に希望の持てぬ老人達が志願に殺到してきた。防衛省としては定年で退職した元自衛官の志願を内心目論(もくろ)んでいたのだが、思いのほか一般の定年退職老人たちまでもが群れをなして志願票を投函してきた。

 老人たちの心中はといえば、これは単純な愛国心や義勇ではなかった。5倍に増えた防衛費を背景とする1千万円の年俸と死亡時の償恤(しょうじゅつ)金1億円は、老い先短い者にとって死亡保険金代わりの家族への遺産と見れば魅力という他なかったのである。しかも、用無し老人として家族から嫌われながら余生を送るより、いっそ戦争に行って射殺でもされたなら「じぃじはあなたたちのために命をかけて戦って死んでくれたのよ(泣)」などと、日頃冷たい息子の嫁が涙ながらに孫に語るかもしれないではないか。とどのつまり、言うならば、「(うと)んじられて百歳の天寿を全うするよりもいっそのこと戦死した方がマシ」という身も蓋もない自暴自棄である。

 そんな折も折、遂に発動されたのが樺太(からふと) “妄想・老人自衛官” の続きを読む

台風12号と小田和正

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 「台風12号と小田和正が似ている」という話をネットで見かけたが、この反り具合といい、スライダー感、高揚感など、確かに似ているようだ。