死老人に贈るような言葉を書くなっ!

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 フィギュアスケートの世界的第一人者、浅田真央先生は嗚呼、ついに引退を表明されるに至った。この話題で世間は持ち切り、テレビも新聞もそれ一色だ。フィギュアスケート界をかの繊細美麗なる細身の(せな)に担ってきたのみならず、それを通じてここ十数年来の日本スポーツ界全体をも振興し、牽引してきたという事実、またその力量を思えば(むべ)なるかな、である。ネット上にも感謝の言葉があふれている。

 だが、この「ネット上の感謝・慰労の言葉」が気にくわない。

「お疲れさまでした」「長い間お疲れさまでした」

……等とする言葉が多いのだが、これではまるで、死んだ老人に送る言葉である。しかもなお、世界的第一人者に対して「真央ちゃんお疲れさまでした」などと、ナニヲ「ちゃん」付けとは、()()れしいにも程がある。

 浅田真央先生は本日現在、芳紀まさに26歳の(うるわ)しい乙女であって、こういう花も実もあろうという人に、「お疲れさまでした」は、ない。こういう方には、今後も、美しい人生、尽きることのない喜びがあってしかるべきである筈のものだ。

 人生が終了した人に贈るような言葉を連発するのはやめてもらいたい。むしろ、「卒業おめでとうございます」「勇退おめでとうございます」と励まして差し上げたい。そして、多大な努力により世界を励ましてきた浅田真央先生に、今後どうにかして喜びと幸福の人生を保証できないものかと思うのである。