NHKの朝の連ドラ「おちょやん」を見るともなしに見ている。往年、「オロナイン」の
見ているうち、「お
私は大阪出身ではあるが、大阪と言っても堺市の生まれ育ちで、子供の頃までしか大阪に住んでおらず、そのため、実は大阪の寄席や芝居小屋へなど一度も行ったことがない。だから「お茶子さん」という言葉は、知らない言葉ではないにもせよ、それほど親しみ深く懐かしいものでもない。しかしそんな私にすら、忘れられかけた古い大阪の情緒を思い起こさせる言葉ではある。
「お茶子」というのは、芝居小屋で客にお茶を出したり
見ているうち、次のようなことをふと思い出した。
落語会では、咄家と咄家の合い間に座ぶとんを裏返す女の子が登場する。ついでに
上 手 にある演者名を墨書きした紙をめくっていく。これが「お茶子」だ。ところで、淡路島では女性器および性行為のことを「ちゃこ」という。
ある日、橋鶴事務所に一人面接の女の子がきた。ブルドッグ顔で面接に出たのがうちの師匠だった。
「あの、どんな仕事をすればいいんでしょうか」
女の子が尋ねた。橋鶴師匠は耳の穴をほじりながら、
「そうやなあ。とりあえずお茶子でもしてもろうて」
「……。私、帰らせていただきますっ」
女の子はすっ飛んで逃げたそうだ。ちゃこが淡路島でのそういう言葉だと師匠が知ったのは、それからずいぶんたってからのことだそうだ。
フランク永井の「夜霧に消えたチャコ」、サザンオールスターズの「チャコの海岸物語」が
流行 ったときにも、淡路島ではたいへんな騒動になったらしい。
……それにしてもこの件、実際に淡路島出身の人に
実のところ、私には淡路島出身の知り合いがただ一人だけいるのだが、その人は女性なので、こんなことはとても訊けず、年来そのままとなってしまっている。
そう言えば、中島らもも、亡くなってもう20年近く経つんだなあ……。