理趣経 五秘密極喜三昧耶 百字の偈と漢音

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 漢字の音読には「漢音読み」と「呉音読み」がある。

 多くの仏教用語は「呉音」で読む。一方、私の宗旨は真言宗であるが、真言宗入来当時、中国は唐の時代で、唐では漢字は「漢音読み」であったため、平安時代の流行を映し、真言宗の経文は漢音で読む。一般の仏教用語、例えば「金剛(コンゴウ)」「衆生(シュジョウ)」というのは呉音だが、真言宗では「金剛(キンコウ)」「衆生(シュウセイ)」と読む。これが漢音である。

 試みに、真言宗の常用教典「理趣経」の、神髄中の神髄と言われる標記「百字の偈」を読み方と共に摘記する。普通ではない変わった読み方、仏教用語の読み方と違って、漢字の「普通の音読」をそのまま読んでいっている感じがすることがわかる。

菩薩勝慧者(ホサツショウケイシャ) 乃至盡生死(ダイシシンセイシ) 恒作衆生利(コウサクシュウセイリ) 而不趣涅槃(ジフシュデッパン)
般若及方便(フワンジャキュウホウベン) 智度悉加持(チドシッカチ) 諸法及諸有(ショホウキュウショユウ) 一切皆清浄(イッセイカイセイセイ)
欲等調世間(ヨクトウチョウセイカン) 令得浄除故(レイトクセイチョコ) 有頂及悪趣(ユウテイキュウアクシュ) 調伏盡諸有(チョウフクシンショユウ)
如蓮體本染(ジョレンテイホンゼン) 不為垢所染(フイコソゼン) 諸欲性亦然(ショヨクセイエキゼン) 不染利群生(フゼンリキンセイ)
大欲得清浄(タイヨクトクセイセイ) 大安楽富饒(タイアンラクフジョウ) 三界得自在(サンカイトクシサイ) 能作堅固利(ノウサケンコリ)