東京の砂場と新島繁

投稿日:

img_4565 昨日、たまたま成り行きでだが、東京・三ノ輪にある蕎麦店「砂場総本家」へ行った。

 街の蕎麦屋さんの雰囲気で、静かに蕎麦を楽しむことができ、満足した。

 店内は面白おかしく雑然としていた。私は入って右奥の椅子卓席に座を占め、蕎麦味噌で剣菱を飲み、「もり」を一枚手繰(たぐ)った。

 席の表通り側の窓下にはガラスケースがあり、その中に古物が並べられ、上は本棚になっていた。蕎麦屋らしく、蕎麦に関する本が多く並んでいる。

img_4571 その中に、カバーがセロテープで修繕され、背綴じがバラバラに外れかかった新書版の本が一冊あった。題に「新撰 蕎麦事典 新島繁 編」とある。付箋が打たれて、書き込みや傍線が引いてあった。

 手に取って付箋のあるページをめくってみると、それは「さ」行の「す」項、「砂場蕎麦」の項目であった。大坂屋砂場の来歴由来が記されており、「糀町七丁目砂場藤吉」の記述のところに傍線が引いてあって、「当店です」と鉛筆の書き込みがある。

 こういう本は一度見失うと再び出会えないので、ISBNを控えた。「4879931011」である。

 ところが、帰宅してAmazonあたりにこのISBNを入力しても出てこない。昭和40年代頃の、ISBN普及期の本の中にはこういうことがよくある。

 著者の新島繁と言う人は、ふた昔ほど前の蕎麦マニア筆頭の人であるらしい。往時は非常に読まれたようで、「蕎麦Web」というサイトに、著書やその業績が紹介されている。平成13年に逝去されたそうである。蕎麦の知見に関する集成・整理は、この人なくしては語れないものであるようだ。

 上記サイトの情報から推測するに、どうやら、この本の新装改訂は左掲の本であるらしい。

 この本、ちょっと入手したい感じだが、うーん、どうしようかねえ……。